トヨタNPOカレッジ「カイケツ」における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止への対応について
今年度のトヨタNPOカレッジ「カイケツ」は、以下の対策を取りながら開催致します。参加者および関係者各位にはご理解、ご協力の程、宜しくお願い致します。
(1)会場の出入口の開放および天井の換気システムによる常時換気(会場の窓は閉切りの構造となっていますのでご了承ください。)
(2)定員減とし、十分な座席間隔(1.5~2メートル程度)の確保
(3)グループでの討議が近距離での会話にならない座席レイアウト
(4)講師、参加者、トヨタ財団の職員および関係者のマスク着用
(5)会場入口付近にアルコール消毒液を設置し、入室時は手指を消毒
(6)当日37.5℃以上の発熱、咳などの風邪症状が見られる場合は参加辞退を依頼
(7)その他、備品の消毒などを含む感染拡大防止のための注意や対策の徹底
以上
トヨタNPOカレッジ『カイケツ』のご案内
トヨタNPOカレッジ「カイケツ」で学ぶのは、トヨタも学んできた「問題解決」という手法です。トヨタ自動車では、新入社員の時からこの手法を学びます。生産現場だけでなくあらゆる組織や事業に応用可能な手法です。
本講座では、社会的課題の解決に取り組むNPO等の非営利組織を対象に、「代表者に仕事が集中する」、「業務効率が悪い」、「業務品質がばらつく」など、事業を進めていくうえで発生する問題を解決していく力を身につけ、地域や社会の課題解決の担い手としてより大きな成果を出していただくことを目的に「問題解決」手法を学ぶ講座を開催します。
講師を務めるのは、トヨタ自動車で長く品質管理に携わってきた古谷健夫氏(元トヨタ自動車TQM推進部長)のほか、経験豊富な講師陣です。また、「問題解決」の講座以外に希望者を対象にしたオプショナル講座も開催予定です。
プログラム
開催回 | 日時 | 会場 | 内容 | |
---|---|---|---|---|
第1回 | 6月18日(木) |
10:00-17:00 |
@新宿三井ビル 29階会議室 |
・ガイダンス、参加者自己紹介 ・「トヨタの問題解決手法」講義 8 ステップ全体を学ぶ 講師 古谷健夫氏 (株)クオリティ・クリエイション代表取締役 |
第2回 | 7月16日(木) |
13:00 -17:00 | @新宿三井ビル 29階会議室 |
・グループワーク/個別指導 「テーマ(取り組む業務上の課題)の選定」 |
第3回 | 8月20日(木) | 13:00-17:00 | @新宿三井ビル 29階会議室 |
・グループワーク/個別指導 「現状把握・目標設定」 |
第4回 | 9月15日(火) | 13:00-17:00 | @新宿三井ビル 29階会議室 |
・グループワーク/個別指導 「要因解析」 |
17:30-18:30 | @トヨタ財団会議室 | ・オプショナル講座「広報」 | ||
第5回 | 10月19日(月) | 13:00-17:00 | @新宿三井ビル 29階会議室 |
・グループワーク/個別指導 「対策立案」、「中間まとめ発表」 |
第6回 | 1月22日(金) |
13:00-17:30 終了後懇親会 |
@トヨタ自動車 東京本社 |
・成果発表会 |
講師プロフィール
株式会社クオリティ・クリエイション代表取締役
古谷 健夫氏
東京大学工学部産業機械工学科卒業。トヨタ自動車工業株式会社(現:トヨタ自動車株式会社)入社、TQM推進部長、本社工場品質管理部長など歴任。昨年退社後、株式会社クオリティ・クリエイションを設立して現在に至る。中小企業診断士。デミング賞審査委員。著書に『“質創造”マネジメント―TQMの構築による持続的成長の実現』中部品質管理協会編、監修・共著(日科技連出版社 2013年9月)がある。新著『問題解決の実践:働く喜びに溢れる社会を目指して』(日科技連出版社 2018年1月8日)では、カイケツ受講生の事例も紹介している。
※古谷氏に加え、日野自動車TQM推進部の鈴木直人主査、のぞみ経営研究所(元トヨタ自動車)の中野昭男所長、中部品質管理協会企画部の細見純子次長の4人が各グループで個別指導します。
トヨタの問題解決
1.テーマ選定: | 改善したい課題を1文にまとめるステップ。テーマを読めば、改善の狙いが理解できるように表現します。「どこで」「何を」「どのように」の3項目を具体的に書きます。 |
2.現状把握: | 問題が起きている事実を定量的に把握するステップ。事象をデータ化し、問題点を絞ります。主観ではなく、多くの客観的な事実を集めて定量的に整理します。 |
3.目標設定: | 目標を設定するステップ。その目標を達成すると、選定したテーマを解決できるレベルに設定します。 |
4.要因解析: | 原因についての真因を探るステップ。事象に対して、5回の「なぜ」を繰り返します。現状把握と混同して考えてしまいがちですが、現状把握では要因は書きません。事実だけをまとめます。 |
5.対策立案: | 要因解析で見つけた真因を解決するための対策を立てるステップ。真因ごとに、「対策内容」「担当者」「期限」に分けて記入します。真因への対策をいきなり考えるのではなく、方向性を明確にしてから、アイデアを出していくことがおすすめです。 |
6.対策実行: | 実行する対策の内容やスケジュールをまとめるステップ。 |
7.効果確認: | 実施した対策内容によりどの程度効果が出たのかを評価するステップ。 |
8.標準化と管理の定着: | 効果の出た対策の内容を標準化し、定着させるステップ。同じ問題の再発を防ぐことができます。 |
2019年度の実績と具体的な内容
「カイケツ」では、約7カ月のプログロムを通して、問題解決のプロセスをA3用紙1枚にまとめます。2 0 1 9 年度は、20団体約30人が参加し、4グループに分かれてグループワークを中心に実施しました。「トヨタの問題解決」の8ステップ(左頁参照)に従い、「テーマ選定」から始まり、「現状把握」「目標設定」「要因解析」を行った上で「対策立案」をし、実際に「対策実行」以降のステップまで取り組んで頂き、その内容と成果について12月の成果発表会で発表頂きます。
2019年度受講者の声
小豆島中央病院豊島健康センター 看護師
小澤詠子さん
小豆島中央病院豊島健康センターで働く看護師の小澤詠子さんは、住み慣れた地域で最後まで暮らせる環境を維持し、望まない島外流出を防ぐための活動を続けています。24時間介護サービスのほか、介護力が弱った家族を助けて貴重な看取りの場を提供している老人福祉施設Aでは、厨房の人員不足を補うべく施設長が現場応援に入る時間が増え、管理業務に時間を割けないという問題を抱えていました。そこで、小澤さんは施設長と共に管理業務の課題を丁寧に洗い出し、全職員で課題を共有し、施設長が厨房応援に入る時間を上限24時間までに減らすという目標を掲げました。「施設長から『取り組むべき問題を明確にすることで、無駄な時間が減り、管理者としての舵取りの実感が出てきた』との言葉を聞いたときは嬉しく、もともと抱いている管理者の自負のベクトルが課題に応じて適切に定まることの効果と大切さを学びました。A3フォーマットに落とし込むことで課題に潜むストーリーが見事に炙りだされるという体験は、私たちに大きな勇気を与えてくれました」(小澤さん)