公益財団法人トヨタ財団

トヨタNPOカレッジ「カイケツ」

トヨタNPOカレッジ「カイケツ」第5回レポート

kaiketsu
カイケツ


情報掲載日:2016年9月12日

「カイケツ」レポート

トヨタ財団は8月18日、第5回目となるトヨタNPOカレッジ「カイケツ」を開きました。この日が座学編の最終回でした。5月から行ってきた5回の連続講座を通じて、NPOはどう変わったのかをまとめました。

カイケツでは、5月から8月まで、「テーマの選定」「現状把握」「目標設定」「要因解析」「対策立案」の5項目を学んできました。座学の最終日となった同日は、これまでの学びをもとに、5項目をA3用紙一枚にまとめて、講師からフィードバックを受けました。

この5項目について、講師からのアドバイスを入れて説明します。

テーマの選定

改善したい課題を1文にまとめるステップ。
「改善点を絞ることが大切。テーマを読めば、改善の狙いが理解できるように表現するべき。どこで(製品名、工程名)・何を(管理特性)・どのように(水準、方向)の3項目を具体的にするべき」(杉浦和夫・改善QA研究所/元トヨタ自動車)例:「錆び止め工程におけるフロアーへのオイル滴下の防止」

現状把握

問題が起きている事実を定量的に把握するステップ。原因をデータ化し、問題点を絞ります。
「主観ではなく、多くの客観的な事実を集めて定量的に整理する。顧客について、どのような価値を、どう提供しているのかの3項目に分けて発表することがおすすめ」(古谷健夫・トヨタ自動車業務品質改善部主査)

目標設定

「その目標を達成すると、選定したテーマを解消できるものに」(河合武雄・河合WORK研究所/元トヨタ自動車)

要因解析

原因についての真因を探るステップ。
原因に対して、5回のなぜを繰り返す。このときに、「なぜ」と「だから」の往復になっていないといけません。
「仕事のやり方の悪さと不具合現象の関係を調べるステップ。現状把握と混ぜて考えてしまいがちだが、現状把握では要因は書かない。事実だけをまとめる。」(杉浦和夫・改善QA研究所/元トヨタ自動車)

対策立案

要因解析で出た真因を解決するための対策を考えるステップ。真因ごとに、「対策内容」「担当者」「期限」に分けて記入します。
「真因への対策をいきなり考えるのではなく、方向性を明確にしてから、アイデアを出していくこと」(中野昭男・のぞみ経営研究所/元トヨタ自動車)

カイケツの様子

この講座の講師は全員、非営利組織にトヨタ生産方式を教えるのは初めてでした。株主への分配などを除けば、NPOは民間企業と同様に、事業活動を行う組織です。ですが、スタッフの数やステークホルダーとのかかわり方など、民間企業とは異なる点がいくつかあります。

講師を務めた藤原慎太郎・トヨタ自動車業務品質改善部は、「トヨタ生産方式はモノづくりにおける実績やノウハウはあるが、NPOの課題は、ボランティアマネジメントやイベントの集客など人にまつわるものが多かった。でも、グループのメンバーどうしが、アイデアを話し合うスタイルにして、解決策を引き出せた」と振り返りました。

NPOとの出会いで、人への接し方について学んだとも言います。「雇用とは違い、ボランティアは強制力がない。そのため、ボランティアをマネジメントするためには、その人の心に訴えなければいけない。人への対応の姿勢については多く学んだ」(藤原氏)。

講座を受講した任意団体Cloud Japan(NPO法人申請中)の田中惇敏代表理事は、「さまざまな視点から、分析してもらい、刺激を受けた」と話します。「A3一枚にまとめるために、スタッフと話し合うためにゆっくり時間を取った。知らなかった部分を知れて、多くの気付きを得た」。

受講者は本日の講座で、座学を卒業し、それぞれが考えた対策の実行ステップに入ります。大野満・トヨタ財団事務局長は、「問題解決手法の効果を納得したら、仲間に広めてほしい。そして、ほかの課題にも適応してほしい」と伝えました。

各NPOの成果発表会は12月16日に名古屋市で行われます。一般の観覧も受け付けており、100席ほど用意する予定です。ぜひ、NPOの変化を観にお越しください。


(記事執筆:株式会社オルタナ 池田真隆氏)

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