公益財団法人 トヨタ財団
2024年度 事業計画
トヨタ財団の本年度「事業計画」が決まりました。その概要をお知らせいたします。
当財団は、1974年の創設以来、生活の質の向上、自然環境の整備と保全、社会福祉の充実、教育・文化活動の振興などにつながる意欲的・創造的な研究や事業に対して、多彩な枠組みによる助成を実施してきました。本年度においてもそうした方針の下、昨年度と同様、「国内」「研究」「国際」の3つの助成プログラム、2つの特定課題(「先端技術と共創する新たな人間社会」「外国人材の受け入れと日本社会」)、イニシアティブプログラムという枠組みを設けるとともに、特に近年の重要課題である人口減少下での持続可能な社会の構築に寄与すべく、新たな特定課題「人口減少と日本社会」を設け、人々のより一層の幸せの実現に向けた助成事業を展開していきます。
新型コロナウイルス感染症拡大以降、特に注力してきたITなどの新しい産業技術の適切な社会実装による人々の「つながり」や「交流」のあるべき姿の構想と具体化についても、引き続きすべてのプログラムにおいて重点を置いて助成を実施します。合わせてそこから得られる知見を最大化するべく、関係組織や機関との共有・連携をさらに強化して、その成果を社会に届けることに努めていきます。
また、本年当財団が設立50周年を迎えるにあたって、その記念事業についても合わせて進めていきます。
特定課題
先端技術と共創する新たな人間社会
基本テーマを継続し、助成対象にかかわる枠組みも共同研究プロジェクトと個人研究プロジェクトの2本立てとする。
募集概要
テーマ | 先端技術と共創する新たな人間社会 |
募集時期 | 2024年9月~11月(予定) |
助成予定金額 | 総額4,000万円 ・共同研究プロジェクト:3,500万円程度[500~1,000万円程度/件] ・個人研究プロジェクト:500万円程度[100~200万円程度/件] |
助成期間 | 2025年5月から最長3年間(1年、2年または3年間) |
特定課題
外国人材の受け入れと日本社会
基本テーマを継続する。ただし、日本国外居住者を代表とする応募も受け付ける。
募集概要
テーマ | 外国人材の受け入れと日本社会 |
募集時期 | 2024年9月~11月(予定) |
助成予定金額 | 総額5,000万円[500~1,000万円程度/件] |
助成期間 | 2025年5月から2年間または3年間 |
特定課題
人口減少と日本社会
人口減少や少子高齢化は息の長い取組みや対応が必要な課題であることから、人口減少の緩和と人口減少下における日本社会のあり方を対象とする本助成プログラムを新たに立ち上げることとした。本特定課題では、若者や次世代の人材を「未来の担い手」と捉え、彼/彼女らが主体性を発揮し、これまでのさまざまな対応・対策の効果や意義等をレビューし、それに基づいて人口減少の緩和、人口減少下における日本社会のサステナビリティに関して考える取組みを支援する。
募集概要
テーマ | 人口減少と日本社会 |
募集時期 | 2024年9月~11月(予定) |
助成予定金額 | 総額4,000万円で4~6件の助成を想定[500~1,000万円程度/件] |
助成期間 | 2025年5月から2年間または3年間 |
国内助成プログラム
「新常態における新たな着想に基づく自治型社会の推進」をテーマとした4期目の公募を行う。助成の枠組みなどは2023年度までを継承するが、日本国内(社会)を対象とした特定課題を新たに設けることに伴い、助成総額を減額する。そのため、「1)日本社会」の枠組みでは1件あたりの上限額を減額する。併せて、企画内容においては、助成期間中に新たに2地域以上での実践・展開、および特定地域での既存の取り組みの分析・検証と他の地域に広げる戦略づくりの実施、以上2点を要件として設ける。
募集概要
テーマ | 新常態における新たな着想に基づく自治型社会の推進 |
助成カテゴリー | 1)日本における自治型社会の一層の推進に寄与するシステムの創出と人材の育成 2)地域における自治を推進するための基盤づくり |
募集時期 | 2024年4月~6月 |
助成予定金額 | 総額8,000万円 1)「日本社会」:総額4,000万円程度[上限1,500万円/件] 2)「地域社会」:総額4,000万円程度[上限600万円/件] |
助成期間 | 1)「日本社会」:2024年11月から3年間 2)「地域社会」:2024年11月から2年間 |
研究助成プログラム
テーマ「つながりがデザインする未来の社会システム」のもと、引き続き「協働事業プログラム」と「共同研究プログラム」を実施する。
協働事業プログラム
東京大学未来ビジョン研究センター(IFI)との協働により、若手研究者に対する安定した研究活動の場を提供し、その育成を支援する。
募集概要
テーマ | つながりがデザインする未来の社会システム |
助成予定金額 | 総額2,000万円/年[主に人件費に充当] |
助成期間 | 2025年4月から2026年3月31日(進捗報告を受けたうえで単年度単位で助成を決定) |
共同研究プログラム
学際性と研究参画者の多様性、国際性、そして研究成果の社会へのインパクトを重視し、社会システムの変革を促すような強い姿勢で社会課題に向き合うプロジェクトを募集する。
募集概要
テーマ | つながりがデザインする未来の社会システム |
募集時期 | 2024年4月~6月 |
助成予定金額 | 総額5,000万円[上限800万円程度/件] |
助成期間 | 2024年11月から2年間 |
国際助成プログラム
2022年度に対象地域に加えた南アジア諸国も含め、基本テーマと趣旨を継続して、助成プログラムを実施する。本年度は、設立50周年記念国際シンポジウムが日本とASEANの関係を重点的に扱う機会を捉え、これまでの国際助成プログラム助成対象者を招き、発信とネットワーキングを行う。
募集概要
テーマ | アジアの共通課題と相互交流─学びあいから共感へ─ |
対象国※ | 東アジア・東南アジア・南アジアの国・地域 |
対象プロジェクト | 対象国の2国以上が関わるアジアの共通課題について、学びあいによる相互理解を深め、レビュー及び提言や作品の制作を行うもの |
必須となる活動 | 学びあいの手法として、他国の現場訪問・相互交流 |
募集時期 | 2024年4月~6月 |
助成予定金額 | 総額7,000万円 |
助成期間 | 2024年11月から1年または2年間 |
- ※
- [対象国]
・東アジア:日本、中国、香港、マカオ、台湾、韓国、モンゴル
・東南アジア:ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、東ティモール、ベトナム
・南アジア:バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ
イニシアティブプログラム
本年度も引き続き、トヨタ財団として支援の意義が大きい、主体的・能動的に取り組むべきと考えるプロジェクトを積極的に発掘していく。また、過去に助成したプロジェクトの成果や手法などをインパクトのある形で社会に発信・普及させることを目的とするプロジェクトへの助成も行うとともに、シンポジウム開催による成果発信も行う。
プログラム内容
対象プロジェクト | ・民間財団として支援の意義の大きいプロジェクト ・公募プログラムにおけるモニタリングなどを通して、より大きな成果に結びつくと財団として判断したプロジェクト |
助成予定金額 | 総額4,000万円 |
トヨタ財団設立50周年記念事業
トヨタ財団は2024年10月15日に設立50周年を迎える。そこで、設立50周年記念事業として以下の事業を2024年度に実施する。
50周年特設サイト新設(50年史)
ウェブサイト上に助成プログラムの変遷などをまとめたトヨタ財団50年の歴史や、助成プロジェクトのインタビュー記事、トヨタ財団の目指す未来への提言などを掲載していく。
国際シンポジウム開催
設立初期より現在に至るまで、トヨタ財団の国際的な助成事業の重要な対象地域である東南アジアと日本について焦点をあてたシンポジウムを開催する。
記念助成
設立50周年を記念し、人間は地球全体の一部であるという認識のもと、地球環境変化、国際情勢変化、技術革新、人口変動等のさまざまな環境下での人間社会のあり方にフォーカスした研究プロジェクトへの助成を実施する。具体的な分野や領域は規定せずに、革新的で野心的なプロジェクトを幅広く募集する。
募集概要
テーマ | 50年後の人間社会を展望する |
助成カテゴリー | 1)共同研究プロジェクト(2名以上で、代表者は45歳以下) 2)個人研究プロジェクト(個人応募で40歳以下) |
募集時期 | 2024年10月~12月(予定) |
助成予定金額 | 総額7,000万円 1)共同研究プロジェクト:総額3,000~4,000万円程度[1,000万円/件] 2)個人研究プロジェクト:総額3,000~4,000万円程度[200万円/件] |
助成期間 | 2025年5月1日から1~2年間 |