カイケツ
情報掲載日:2016年8月2日
トヨタ財団は7月14日、トヨタNPOカレッジ「カイケツ」を名古屋市で開きました。同日は、トヨタ生産方式の一つである「5回のなぜ」を用いて、団体が抱える課題の真因を探っていきました。
講座の冒頭、講師を務める古谷健夫・トヨタ自動車業務品質改善部主査が本日のテーマである「要因解析」について説明しました。要因解析とは、仕事のやり方の悪さと不具合現象の関係を調べるステップ。その次に対策立案に進みます。「PDCAサイクルのPに当たる部分。今日でPを完成させましょう」と呼びかけました。
「事業拡大のため、効率的に情報を発信していきたい」――。これは学童保育の開業・運営支援などを行うNPO法人sopa.jp(東京・港)の板谷友香里・理事兼事務局長が定めた目標。
板谷氏は、「情報発信で一定数のファンを獲得し、イベントなどの集客に困らなくなりたい」と話します。同団体では、定期的に30人規模のイベントを企画しています
板谷氏の講師を務める藤原慎太郎・トヨタ自動車業務品質改善部第1TQM室主査は、イベントに人が来なくなった原因の調べ方について、こうアドバイスしました。
「まず、イベントには参加者を増やしたいのか、もしくは(当日手伝いの)スタッフを増やしたいのかを区別する。そのうえで、来てくれる人と来なくなった人にそれぞれ理由をたずねる。両者から出てきた理由をまとめると原因を定めやすい」
イベントに来なくなった人には、メールや電話ではなく、会ってたずねるのが効果的だといいます。「『忙しい』・『お金がない』などの理由は、多くの場合本音ではない。ネガティブな意見を聞くときは、面と向かって聞いてみる。『何があったら来てくれる?』とたずねるのも良い」(藤原氏)。
原因を把握したら、次はその真因を探るステップです。そのときに用いるのが、トヨタ生産方式の一つである「5回のなぜ」。これは、一つの事象に対して、5回「なぜ」と自問自答する方法です。
「なぜ」と「だから」の往復
講師を務める河合武雄・河合WORK研究所所長は、「5回のなぜ」を考えるときは、「なぜ」と「だから」の往復になっていないといけないと言います。
一般社団法人いなかパイプ代表の佐々倉玲於さんは、自身の業務委託が課題と言います。佐々倉さんは、業務を教えられない原因として、「(自身の)余裕のなさ」と「(人を雇うための)給与の支払い」を挙げました。
河合氏は、「人を増やすことと、収益を上げることは別の問題」と指摘。「5回なぜと考察するときには、その答えの大小が違うとつながらない。なぜで出した答えから、『だから』で戻れる形になっていないといけない」と説明しました。
カイケツの第5回目は8月18日に開かれます。テーマは、「対策立案」です。
(記事執筆:株式会社オルタナ 池田真隆氏)
終了後、株式会社PubliCo(パブリコ、東京・品川)の山元(やまもと)圭太・代表取締役COOによるミニ講座が開かれました。テーマは、「ファンドレイジング」です。詳しくはこちらをご覧ください。