公益財団法人トヨタ財団

トヨタNPOカレッジ「カイケツ」

トヨタNPOカレッジ「カイケツ」第4期成果報告会レポート

kaiketsu
カイケツ


情報掲載日:2019年12月12日

問題解決の「型」を学び、さらなる発展を

修了証を掲げる第4期「トヨタNPOカレッジ カイケツ」受講生と講師ら
修了証を掲げる第4期「トヨタNPOカレッジ カイケツ」受講生と講師ら

トヨタ財団は11月29日、トヨタ自動車の問題解決手法をNPO向けに伝える第4期トヨタNPOカレッジ「カイケツ」の成果報告会をトヨタ自動車東京本社で開催しました。NPOの代表者は、それぞれのテーマに対する「問題解決」のステップを「A3資料1枚」にまとめ発表しました。(編集委員・高馬卓史)

トヨタ財団は、NPOに問題解決力を身に付けてもらうことを目的に、2016年からトヨタNPOカレッジ「カイケツ」を実施しています。今期は20団体が参加。それぞれ掲げたテーマに対し、約7カ月間をかけてトヨタ式「問題解決」を実践してきました。

カイケツでは、「テーマ選定」「現状把握」「目標設定」「要因分析」「対策立案・実施および効果の確認」「標準化と総合評価」「振り返りおよび今後の進め方」いう一連のステップをA3用紙1枚にまとめていきます。

成果発表会では、AからDの4つに分かれたグループ内での発表し、グループごとに代表を選出。その後全体発表を行いました。

代表には、一般社団法人エル・システマジャパンの加藤カヨさん(Aグループ)、Connections for childrenの水木千代美さん(Bグループ)、NPO法人ICYEジャパンの又吉莉奈さん(Cグループ)、小豆島中央病院豊島巡回診療所の小澤詠子さん(Dグループ)が選ばれました。

「ガントチャート」作成で計画の可視化を図る

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Aグループ(鈴木直人講師)

美しい富士山を次世代に残すことをビジョンに掲げる認定NPO法人富士山クラブ(山梨県富士河口湖町)は1998年11月の設立以来、ごみ拾いや外来植物駆除活動など富士山の環境保全活動に取り組んできました。

富士山クラブの青木信子事務局長によると、専従職員5人でボランティア4000人を抱え、市民や行政からの期待に応えたいという思いからオーバーワークになりがちな運営体制になっているといいいます。そこで、「楽しく満足感を得られる仕事をNPOで実現したい」という思いからカイケツに参加しました。

カイケツでは、どのような働き方を目指すのか、なぜオーバーワークになってしまうのか、その視認と対策を考えていくことになりました。

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Bグループ(古谷健夫講師)

Connections for childrenのテーマは、「子どもが主役の地域の居場所を作る。子どもが主体的に進路選択ができる情報提供やプログラム開発を行う」こと。

目標設定では、まず中学2年生の時に、自分で納得した進路選びができ、選んだ理由を言葉にできる状況にもっていくことなどを2021年3月末までの目標にしました。
標準化と総合評価において、水木千代美さんは「標準化できるとすれば、学校の先生の研修プログラムではないかと思っている」と語りました。

枠組みを知っただけでも大きな第一歩

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Cグループ(細見純子講師)

NPO法人ICYEジャパンは、世界43カ国で青年国際ボランティア生の交換を行っています。テーマとして「業務を標準化し、新しいことに取り組める時間を創出する」を設定。又吉莉奈さんは「ICYEは、今、私一人で事務局をやっているので、全てが我流になっている」と語ります。

そこで目標に設定したのが、来年の夏までに短期派遣の個別対応について、標準化により対応時間を30%減、広報関連などの問合せ対応時間を50%減とすること。その削減できた時間を連盟関連業務、法人関連業務にあてることを目標にしました。

対策としては、スケジュール管理ではマニュアルを作ること。年間の計画を作成して、みんなが見通しをもって関われるようにしました。総合評価では、又吉さんは「こういった方法で考えることがなかったので、この枠組みや仕組みを知っただけでも自分の中では大きな第一歩」と語りました。

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Dグループ(中野昭男講師)

小豆島中央病院豊島巡回診療所のテーマは「老人福祉施設長の管理業務の充実」。本来、施設長が管理業務に充てるべき月180時間の中から、厨房に入っている50時間を取り戻すという内容です。

要因分析では、施設長が忙しすぎて、職員全体会議が未開催になっていた結果、新事業でも、進捗が分からないので、他のスタッフが前向きにコミットしようがないという状況など、様々な要因が判明してきました。

そこで対策・立案として、状況の共有不足の解消や、施設長はせめて半日は姿を見せること、まずは全体会議を開くこと、分かりやすい資料を作成すること、また作業を標準化すること、としました。

継続は力なり、息長く取り組むことが大切

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「問題解決の「型」に皆さんで上乗せしていってほしい」と力を込める古谷講師

4名の発表の後、古谷健夫講師(中部品質管理協会企画委員長)が講評しました。

まず、エル・システマジャパンには、「ガントチャートを作成して、見える化したことをぜひ定着させてほしい」とガントチャートの定着を勧めました。

Connections for childrenには、「なぜ大きな社会課題に取り組むことができたかというと、目標設定を明確に掲げた点」と、その目標設定を高く評価。

ICYEジャパンには、「事務局を一人でこなしているなかで、標準化したいということですが、ぜひ仲間を増やしていく方向で頑張っていただきたい」と激励しました。

小豆島中央病院豊島巡回診療所には、「要因分析が素晴らしかった。その要因分析を多くの職員で共有してほしい」と要因分析を高く評価しました。

そして、「皆さんにお教えしたのは、あくまでも問題解決の「型」です。これから先は、皆さんのやり方をどんどん上乗せしていって下さい」と講評を結びました。

最後にトヨタ財団の小平信因会長が、「問題の解決には、直面している問題が何であるかという本質をよくみることが大事。継続は力なりで、息長く取り組むことが大切です」と締めくくりました。

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