トヨタNPOカレッジ『カイケツ』のご案内
トヨタNPOカレッジ「カイケツ」で学ぶのは、トヨタの「問題解決」という手法です。トヨタ自動車では、新入社員の時からこの手法を学びます。生産現場だけでなくあらゆる組織や事業に応用可能な手法です。
本講座では、社会的課題の解決に取り組むNPO 等の非営利組織を対象に、「代表者に仕事が集中する」、「業務効率が悪い」、「業務品質がばらつく」など、事業を進めていくうえで発生する問題を解決していく力を身につけ、地域や社会の課題解決の担い手としてより大きな成果を出していただくことを目的にトヨタの「問題解決」手法を学ぶ講座を開催します。
講師を務めるのは、昨年度から引き続き、トヨタ自動車で長く品質管理に携わってきたトヨタ自動車業務品質改善部主査・古谷健夫氏のほか、経験豊富な講師陣です。
講座概要
参加費 | 無料 |
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定員 | 20名(5名×4グループ) |
申込方法 | 本年度の募集は締め切りました |
参加条件 | ・社会課題の解決に取り組むNPO 等の公益組織( 所属組織の法人格の種別・有無は問いません) ・1 名以上の常勤職員のいる組織。1 年以上の活動実績のある組織 ・組織の代表など中核を担う人材 ・学んだことを現場で実践し、課題を提出できる方 ・全回参加できる方( ただしやむを得ない場合は同組織から代理の方が参加してもかまいません) ・1 組織2 名まで参加可 |
申込締切 | 4月9 日(月) ※今年度の申込は締め切らせていただきました |
チラシ | こちらからちらしPDFファイル(2169KB)このリンクは別ウィンドウで開きますをダウンロードできます。 |
プログラム
開催回 | 日時 | 会場 | 内容 |
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第1回 | 2018年5月17日(木) 13:00 -17:00 終了後懇親会 |
@新宿三井ビル 29階 会議室 | ・ガイダンス、参加者自己紹介 ・「トヨタの問題解決概要」講義 8 ステップ全体を学ぶ 講師 古谷健夫氏(トヨタ自動車株式会社業務品質改善部 主査) |
第2回 | 2018年5月18日(金) 10:00 -15:00 |
@新宿三井ビル 29階会議室 | ・グループワーク/個別指導「テーマ(取り組む業務上の課題)の選定」 |
第3回 | 2018年6月21日(木) 13:00 -17:00 |
@新宿三井ビル 29階会議室 | ・グループワーク/個別指導「現状把握」 |
第4回 | 2018年7月19日(木) 13:00 -17:00 |
@トヨタ自動車 東京本社 |
・グループワーク/個別指導「目標設定・要因解析」 |
第5回 | 2018年8月9日(木) 13:00 -17:00 |
@トヨタ自動車 東京本社 |
・グループワーク/個別指導「対策立案」 |
第6回 | 2018年11月27(火) 13:00 -17:00 |
@トヨタ自動車 東京本社 |
・成果発表会 |
講師プロフィール
トヨタ自動車株式会社 業務品質改善部 主査
古谷 健夫氏
東京大学工学部産業機械工学科卒業。トヨタ自動車工業株式会社(現:トヨタ自動車株式会社)入社、TQM 推進部長、本社工場品質管理部長を経て現職。中小企業診断士。デミング賞審査委員。著書に『“質創造”マネジメント― TQM の構築による持続的成長の実現』中部品質管理協会編、監修・共著(日科技連出版社 2013年9月)がある。新著『問題解決の実践: 働く喜びに溢れる社会を目指して』(日科技連出版社 2018 年1 月8 日)では、カイケツ受講生の事例も紹介している。
※古谷氏に加え、経験豊富な講師陣4名が各グループで個別指導します。
トヨタの問題解決
テーマ選定: | 改善したい課題を1文にまとめるステップ。テーマを読めば、改善の狙いが理解できるように表現します。「どこで」「何を」「どのように」の3項目を具体的に書きます。 |
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現状把握: | 問題が起きている事実を定量的に把握するステップ。事象をデータ化し、問題点を絞ります。主観ではなく、多くの客観的な事実を集めて定量的に整理します。 |
目標設定: | 目標を設定するステップ。その目標を達成すると、選定したテーマを解決できるレベルに設定します。 |
要因解析: | 原因についての真因を探るステップ。事象に対して、5回の「なぜ」を繰り返します。現状把握と混同して考えてしまいがちですが、現状把握では要因は書きません。事実だけをまとめます。 |
対策立案: | 要因解析で見つけた真因を解決するための対策を立てるステップ。真因ごとに、「対策内容」「担当者」「期限」に分けて記入します。真因への対策をいきなり考えるのではなく、方向性を明確にしてから、アイデアを出していくことがおすすめです。 |
対策実行: | 実行する対策の内容やスケジュールをまとめるステップ。 |
効果確認: | 実施した対策内容によりどの程度効果が出たのかを評価するステップ。 |
標準化と 管理の定着: |
効果の出た対策の内容を標準化し、定着させるステップ。同じ問題の再発を防ぐことができます。 |
2017年度の実績と具体的な内容
カイケツでは5カ月間のプログラムを通して、問題解決のプロセスをA3用紙1枚にまとめます。次の図は、RC-NET(レイプクライシスネットワーク)の代表である岡田実穂さんが作成したA3資料です。同団体は、性暴力被害者やLGBTIQ(性的マイノリティ)の支援を行っていますが、組織の運営が不安定という問題を抱えていました。そこで、「持続可能性のあるコミュニティを構築するために収益の安定化」をテーマに設定し、5カ月間をかけて現状把握から効果の確認まで取り組みました。
カイケツでは5カ月間のプログラムを通して、問題解決のプロセスをA3用紙1枚にまとめます。下図は、RC-NET(レイプクライシスネットワーク)の代表である岡田実穂さんが作成したA3資料です。同団体は、性暴力被害者やLGBTIQ(性的マイノリティ)の支援を行っていますが、組織の運営が不安定という問題を抱えていました。そこで、「持続可能性のあるコミュニティを構築するために収益の安定化」をテーマに設定し、5カ月間をかけて現状把握から効果の確認まで取り組みました。
2017年度参加者と講師の声
RC-NET 代表 岡田実穂さん
社会的課題や自分たちがやりたい事の「大きな絵」はあっても、それを構成するツールが私たちには見えていませんでした。カイケツのプログラムは沢山の曖昧にしたままだった出来事に理由があると気付かせてくれ、講師は常にそれぞれのニーズに添った各々のやり方・想いに合う方法を考え続けてくれました。グループのみんなと課題を共有し一緒に解決していく心強さも大きかったです。「大きな絵」に必要なツールを身につけ、団体のエンジンが動き出したような気がしています。
トヨタ自動車株式会社業務品質改善部
藤原慎太郎さん(2017年度Dグループ講師)
「カイケツ」のプログラムには以下の特徴があります。
1 受講者一人ひとりの想い、ノウハウや情報を共有し学び合う
2 講師は一人ひとりのテーマにあった問題解決の考え方や手法を提供する
3 その結果、モヤモヤしていた問題がハッキリし、解決の糸口が見えてくる
4 受講者間の絆ができ、プログラム終了後も継続して学び合える
岡田さんは現状を整理するなかで新たな発見をされ、団体のあり方を見つめなおしながら仲間とともに対策を考えていただけました。その結果、大きな成果につながったと思います。受講者と講師が一緒になって真剣に考え抜く、これが「カイケツ」の醍醐味です。
カイケツ修了から1年が経って
一般社団法人北海道セーフティネット協議会
髙橋信也さん(2016年度受講生)
トヨタカイケツを受講した際の「要因解析」は、事業の収益率低迷の真因となっていた人材不足を解決するために非常に役立ちました。最近では、有償ボランティアを探すだけではなく、関係機関からボランティアが紹介される展開も生まれ、アクティブシニアの活躍促進に向けた新たな事業展開に発展しています。他法人との連携も始まっており、人材不足の問題は徐々に解決に向かっているところです。「なぜなぜ」を繰り返すことで組織運営の限界を知り、新たなアイデアが生まれるカイケツの思考を今後も生かしていきたいと思います。