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財団イベント・シンポジウムレポート

北海道「地域のための再生可能エネルギー -日本とアジアから考える」国際ワークショップ・シンポジウムを開催(国際助成プログラム)

情報掲載日:2015年10月14日

芦別市での木質バイオマスの取り組み視察

トヨタ財団では、2015年10月3日(土)〜5日(月)に、北海道で「地域のための再生可能エネルギー -日本とアジアから考える」国際ワークショップ・シンポジウムを開催しました。
本企画は2014年度国際助成プログラムでテーマとした、「地域による再生可能エネルギーの取り組み」に関する各助成プロジェクトの関係者を中心に、アジア5カ国(インドネシア・韓国・タイ・フィリピン・ベトナム)と北海道、その他日本各地の実践者や研究者約40名が集まり、プログラムとしての成果発信ならびにネットワークの形成と知見の交換をはかったものです。

まず、10月3日(土)から4日(日)の午前にかけて芦別市・夕張市を訪れ、当地の木質バイオマスや雪冷熱、小水力を利用した再生可能エネルギーの取り組みを視察しました。アジアからの参加者にとって、高齢化と人口減少に悩む日本の地方コミュニティで、持てる資源を使って地域の経済や雇用に貢献する取り組みを行っていることが新鮮に捉えられている様子でした。当地での芦別市長今野宏様による歓迎のご挨拶をはじめ、関係の皆さまにも温かくお迎えいただきました。

旧夕張小学校でのワークショップ風景

10月3日(土)夕方には、参加者によるワークショップも行い、各国・地域での再生可能エネルギーの取り組みについて、事例報告がありました。農村地域における太陽光発電、島全体のクリーンエネルギー化構想、温泉地の地熱利用など、規模もエネルギーの種類も様々に異なる事例が報告されました。しかしその後でグループに分かれ互いの共通点と相違点を洗い出していったところ、地域にある資源の利用、技術や人材のローカル(現地)化、コミュニティの参加や合意形成など、共通点も多いこともわかりました。

10/4(日)午後は札幌に戻り、北海道大学学術記念会館で公開のシンポジウムを開催しました。本シンポジウムはトヨタ財団、(公財)秋山記念生命科学振興財団、(一社)北海道再生可能エネルギー振興機構、北海道大学持続可能な低炭素社会づくりプロジェクトの共催で、北海道および札幌市より後援を頂きました。参加者は約150名と、このテーマに関する関心の高さがうかがわれました。

夕張市での温泉熱使用施設視察

冒頭、トヨタ財団遠山理事長および北海道庁山谷副知事のご挨拶の後、京都大学石原教授より東南アジアの再生可能エネルギーについて、北海道大学吉田名誉教授より北海道の再生可能エネルギーの取り組みについて基調講演がありました。また、名城大学李教授より芦別・夕張での視察とワークショップについて報告がありました。その後、東京大学の松浦先生のモデレーションによって、タイ・チェンマイ大学のチャチャワン・チャイチャナ准教授よりタイ農村部のバイオガスを地域で利用するエネルギー企業立ち上げの事例、次にインドネシア小水力協会のファイサル・ラハディアン事務局長より非電化地域における小水力発電の利用について報告がありました。その後北海道からの事例として、下川市の高橋室長より木質バイオマス利用の取り組みについて、北海道グリーンファンドの鈴木理事長より市民風車の取り組みについて報告がありました。
更にパネリストによるディスカッションを経て場内からの質疑もあり、参加していた高校生から「なぜ日本では再生可能エネルギーに関する自前の技術開発ができないのですか」「自分たちがそういうプロジェクトに関わるにはどのようなスキルが必要なのですか」などと鋭くも身近な問題としてとらえた質問がありました。そして、シンポジウムの最後は秋山記念生命科学振興財団の秋山理事長より、閉会の挨拶があり終了しました。

公開シンポジウムにて吉田文和北大名誉教授基調講演

翌5日(月)午前には参加者による最後のワークショップがあり、先進国(電化済み)と途上国(非電化)それぞれにおける再生可能エネルギープロジェクトの進め方や課題について話し合われました。

アジア6カ国からの参加者

本企画によって、日本とアジアの「学びあいと共感」という国際助成プログラムのテーマに即した深い議論とアジア内のネットワークづくりができたものと感じています。共催各団体ならびに多くの皆さまのご協力を頂き、大変充実したものになったことを御礼申し上げます。
(国際助成グループ 青尾)

※当日の講演・発表資料などはこちらからご覧ください。

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