国内助成
interview
インタビュー
情報掲載日:2023年11月9日
同窓会&鳴子視察レポート
JOINT43号の特集では、国内助成プログラムの「同窓会」企画の一環で行われたエクスカーションを取り上げました。アルムナイネットワークの形成は、実は今から約15年前に助成対象者の方々から強いご希望をいただいたことがあったのですが、当時は残念ながら実現させることができませんでした。
オフィシャルな形での実現には至りませんでしたが、それからもずっと緩い繋がりが続いています。私は当時地域社会プログラムの担当をしていたご縁で、今も機会があるとお声がけいただいて集まりにおじゃましています。今回はコロナ禍も一段落した7月に、久しぶりの視察旅行で東北に出かけましたのでその様子をご紹介します。
著者◉ 新出洋子(トヨタ財団広報)
同窓会メンバー(トヨタ財団からは新出・加賀が参加)
小林清(こばやし・きよし)さん
[助成対象プロジェクト]2008年度 地域社会プログラム
[助成題目]いんしゅう鹿野・空古民家再生プロジェクト
[代表者]小林清
[助成対象プロジェクト]2012年度 国内助成プログラム
[助成題目]新たな地方のあり方を創出する『神山・尾道・鹿野』連携プロジェクト
[代表者]佐々木千代子
菊地聡(きくち・さとる)さん
[助成対象プロジェクト]2008年度 地域社会プログラム
[助成題目]栗原の食の再現と次世代への継承プロジェクト
[代表者]小野寺健太郎
辻英之(つじ・ひでゆき)さん
[助成対象プロジェクト]2006年度 地域社会プログラム
[助成題目]僻地農山村の課題解決と青年の意欲を向上させるための国内青少年協力隊プロジェクト
[代表者]辻英之
[助成対象プロジェクト]2008年度 地域社会プログラム
[助成題目]「共助」と「教育の自己決定権」を取り戻す第1次プロジェクト――へき地山村住民による教育コミュニティファンド創設に向けて
[代表者]辻英之
久しぶりの再会
新出 ご無沙汰しております!とはいえコロナ禍の間も小林さんにお声がけいただいてオンラインでは何度か集まっていたのであまり久しぶりという感じはしませんが、でもお会いするのは本当に久しぶりですね。コロナ前に何度か行った視察旅行、今回は宮城県に来ています。まずは、そもそもなぜこのメンバーで集まっているかという説明をお願いします。
小林 私たちは2008年度に地域社会プログラム (現在の国内助成プログラム)で助成を受けた仲間で、贈呈式や報告会で会うたびになんとなく親しくなっていったメンバーだよね。
辻 村上さん(村上真善氏) が「同窓会ネットワークを立ち上げます!」って翌年の贈呈式で宣言したのがきっかけかな。
菊地 自分たちの贈呈式の翌年に行われる報告会に参加するため東京に集まっていて、次年度の贈呈式にもご招待いただいた時でした。
新出 贈呈式の会場は池袋にあったトヨタ・アムラックス東京でしたね。舞台があって贈呈式後の懇親会では高校生のバンド演奏や八丈太鼓の公演などをしました。舞台にはマイクが置かれていて自由に発言ができるようになっていたので、助成を受けられる方が決意表明をされたりもして。それが好評だったので、現在の贈呈式では助成対象者の皆さんに1分間スピーチをしていただいているんですよ。
小林 あの時は勢いで一部が盛り上がって、村上さんが急に壇上でマイクをもって同窓会の設立を宣言したんだよね。よくわからないうちに巻き込まれて壇上に上がるように言われたよ。
辻 そうだったそうだった。
菊地 私は下からその様子を写真に収めてました。
新出 当時からのご縁で今でもずっとお互いの活動を追ったり情報共有を続けていますが、同じ年度に助成を受けたというだけでこんなにご縁が続いている方々はほかにいないと思います。
辻 なんとなく、馬が合ったんだよね。
小林 鹿野の「まちづくり合宿」に来ていただいたのも大きかったかもしれないね(JOINT9号参照 PDF(6322KB) )。そのあとにみんなで視察に行ったのは中之条と泰阜村かな。今回はようやく栗原と鳴子に来られてとても嬉しい。
菊地 栗原に視察に来てくださるということで「たかまった」さんでお話を聞く段取りをしていましたが、残念ながら行かれませんでした。それでも初夏の伊豆沼周辺をご案内できてよかったです。
新出 今日は村上さんが来られなかったのも残念でしたね。次回はぜひまた一緒に行きましょう。
それぞれの活動の現在
新出 助成プロジェクト終了後も活動は継続していますか。
菊地 レシピの復元は終わっていますが、それをもとにアレンジしたお料理をたかまったさんで提供しています。プロジェクトとしては終了していますが、現在でもメンバーとは協力関係にあってお互いの活動を助け合っています。
小林 鹿野は皆さんに来ていただいた時よりお店も移住者も増えました。最初の助成もそうだったけどそのあとの地域間連携助成もちょうど私たちの活動の転換点のときだったし、そういう節目ごとに助成を受けられたことで活動が推進力を持ったと思うな。
辻 私も2回助成を受けました。ずっと狙ってきたのは20年先を見据えた人材育成で、今はそれがきちんと花開いている状況ですね。助成を受けて行った活動は本来自治体に主導してほしいと思ってきたことでしたが、現在そうなっています。
今後について
新出 今回の視察では栗原の後に鳴子も訪れています。
小林 鳴子は若い頃旅行に来たときにこけしに魅せられて、いくつも買って帰った思い出の地だからぜひ再訪したかった場所。久しぶりに加賀さんに連絡をしたら大崎市も空き家が多いということで、今回は関心のある方に向けて講演をさせていただきました。
辻 僕も若い頃にバイクで来たな。数年前には加賀さんに呼んでもらって地域の皆さんと勉強会をしましたよ。
新出 小林さんは空き家活用、辻さんは人材育成、菊地さんは地域伝統の活用とそれぞれ分野の違う活動をされてきましたが、今後はどのようにしていきたいですか。
小林 助成を受けた当時は走り始めたばかりだったけど、今は鹿野に視察に来てくださる自治体がたくさんあってありがたいよね。今日もそうだけど、そういう機会に自分たちの経験を伝えることによっていろいろな地域に還元していきたいし、恩返しになったら嬉しいです。
菊地 私自身は地域の朝市の運営をしています。5月と6月で計8回毎週開催しますが、8月にはお盆市もあって開催日については町の歳時記と照らし合わせ地域の方に相談して決めています。人が集える場を作っていくことで地域にかかわり続けたいです。
辻 泰阜村は高齢化を超えたと言われているんですよ。僻地ではありますが日本の中でも先を走っていると思うので、子どもの教育を軸に地域で人材が育つようにこれまでの活動を続けていきたいですね。
新出 皆さん助成の成果から派生して今も活動が続いていて、本当に敬服いたします。これからも益々のご活躍をお祈りいたします。次の視察も楽しみにしていますのでまたお声がけください。ありがとうございました!