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プロジェクトイベント・シンポジウムレポート

ワークショップ(@タンザニア)が開催されました(研究助成プログラム)

情報掲載日:2016年10月6日


プログラム研究助成プログラム
カテゴリNOctg01 ctg05

植林用の苗畑を見て意見交換をする参加者


助成対象プロジェクト「タンザニアにおける小型水力発電と住民交流を基盤とした環境保全に関する実践的研究」(代表者:黒崎龍悟氏、D14-R-0126)より、ワークショップ(@タンザニア)の実施報告が届きましたので、お知らせいたします。

本プロジェクトの概要については、助成対象検索ページから【D14-R-0126】と入力して検索してください。
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2016年9月5日と9月6日の2日間にわたり、タンザニア南部ムビンガ県の2つの農村において住民交流を兼ねたワークショップを開催しました。

本研究助成プロジェクトは、東アフリカ・タンザニア南部高地に位置する4地域間(モンバ県、ムビンガ県、ルデワ県、ンジョンベ県)および日本人研究者や技術者間で住民交流を進め、相互に刺激を与え合い、地域住民のイニシアティブやアイデアを尊重しながら、小型水力発電の技術および植林(環境保全)技術の当該社会・生態環境への適正化を支援するものです。そのプロセスを学際的視点から記録・分析し、現代アフリカにおけるエネルギーの地産地消を基盤にした環境保全活動のモデルを展望することを目的としています。

これまで、本プロジェクトでは、水源域の保全と水力発電の関係を意識しつつ、それぞれの地域で強みのある部分についてお互いに学び合うということを進めてきました。今年度が最終年度ということにあわせて、現地で住民交流も兼ねた総括的なワークショップを開催しました。当初はモンバ県、ンジョンベ県の住民がムビンガ県に集合する予定でしたが、モンバ県における牛の疫病の影響で、主にンジョンベ県の住民の参加となりました。2日間の参加者は行政関係者やプロジェクトメンバーを含み合計72名(重複を除く)でした。

住民グループが活動内容を発表すると、参加者たちからは多くの質問が寄せられた。

ンジョンベ県の住民は、はやくから商業的な植林活動に取り組んできており、そのなかで環境保全への取り組みを強く意識するようになっています。近年になって植林に積極的に取り組みつつあるムビンガ県の住民に対し、植林についての情報提供や技術交流が活発にされました。一方、ンジョンベ県の住民は、組織的な活動には慣れていないため、グループや村を主体とした組織運営に長けているムビンガ県の住民から、小規模な水力発電や村営の水道ラインの敷設の可能性も含め、新たな事業に村や住民グループとして取り組む上でのノウハウを詳しく学んでもらう機会となりました。

住民同士の意見交換では、おもに活動に着手するまでの経緯についての質問が出され、また、現在どのような課題があり、それをどのように乗り越えようとしているのか、関連する活動はどれぐらいの利益があるのかが中心的に議論されていました。そのような活動を客観的に見てきた私たちプロジェクトメンバーは、諸活動は試行錯誤の連続であるが、住民がこれまでのプロセスでさまざまなステークホールダーとの協力関係を積み重ね、新しい物事に取り組む能力を高めてきていることを、具体的な事例を紹介しながら指摘しました。また、諸活動は一朝一夕にできるものではなく、長期的な視点で考えていくことの必要性も参加メンバーで改めて確認されました。

このようなやりとりをとおして、最終的には、河川を利用する水力発電(水道)設置やそれにともなう環境保全を村だけではなく、村を越えた流域の問題として捉えることの重要性などが議論され、グループ同士、村全体、村同士といった各レベルのネットワーク形成の重要性について確認する場となりました。

今回のワークショップで印象的だったのは、参加者がスマートフォンなどを使用してさかんに写真を撮っていたことです。また、別れ際に参加者たちが携帯電話の番号を熱心に交換していましたが、こうしたデジタル機器の普及は、今後、遠く離れた地域間での情報共有の手助けになることが期待できるのかもしれません。

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