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財団イベント・シンポジウムレポート

2012年度「アジア隣人プログラム・研究助成プログラム助成金贈呈式」を開催しました。

情報掲載日:2012年10月29日

2012年10月23日(火)ハイアットリージェンシー東京(東京都新宿区)にて2012年度アジア隣人プログラム・研究助成プログラム助成金贈呈式を開催しました。贈呈式は、「助成対象者OB・OG報告会」、「助成金贈呈式」の二部構成で実施しました。

第一部 助成対象者OB・OG報告会「助成金が活きるとは -トヨタ財団助成プロジェクトの経験から」

ミニシンポジウム写真 南基泰さんと中村ゆかりさん
中村さんは「助成金を活かす!」
と決意を語ってくださいました。

本報告会は、これまでに助成を受けてプロジェクトを実施し、高い成果をあげた助成対象者OB・OG3名の方より、トヨタ財団の助成金を受けて活動を実施し、その成果を高めていくためにはどうすればよいのかといったことについてご自身の経験に基づきお話いただきました。報告者は、中部大学教授南基泰さん(D11-R-0278)、公益財団法人オイスカ中村ゆかりさん(D11-N-0074、D12-N-0035)、魚と山の空間生態研究所代表山下慎吾さん(D08-L-265)です。

3名の発表の共通点は、プロジェクトの立案や実施の過程でトヨタ財団プログラム・オフィサーとの意見交換をすることの重要性について触れた点です。個々のプロジェクトの目的を財団の助成プログラムの掲げるミッションの中で位置づけてみること、助成を受けて実施するプロジェクトは、個人や一組織の成果として終わらせるのではなく、公益的なものとして意識すること、プログラム・オフィサーをはじめとするプロジェクトメンバー以外の外とのつながりを意識的に生み出すことが重要であるということです。

なかでも上述の点について具体的なエピソードも交えてお話しくださった南さんの発表の内容について簡単ですがここに紹介いたします。

南さんは、助成により研究を進める上で意識していた3つのポイントとして「公益性、連携、継続性」をあげていました。公益性を高めるためにアウトプット発信の多様性。研究成果を学術論文としてまとめるのはもちろんのこと、多様なメディアを使っての発信、市民講座の開講、COP10での展示など様々なチャンネルでより多くの人に発信したそうです。連携については、(トヨタ財団)プログラム・オフィサーをもう一人のメンバーとして積極的に意見交換すること。継続性という点では、プロジェクトをスタートする時点から終了後のことまで視野に入れて人的なつながりや広がりを意識していたことをお話ししていました。

山下慎吾さん 幡多について研究している
研究者が市民に向けて発表をおこなうシンポジウム
「はたのおと」についてご紹介いただきました。

チベットに調査に行った際に偶然会った研究者が同じくトヨタ財団の助成対象だったため、意気投合し今後協働でプロジェクトを立ち上げていく計画があるというエピソードを紹介された後に「まずは今日隣に座っている人と情報交換してみてください」と説得力のあるアドバイスをされていました。

3名とも具体的な経験にもとづいた「助成金を活かす」ための「ノウハウ」を簡潔かつわかりやすい見事なプレゼンテーションで発表してくださり、これからプロジェクトをスタートする助成対象の方々にとっても得るものが多かったようです。

第二部 助成金贈呈式

贈呈式フォト 助成金贈呈書を受け取る相原洋子さん
盆地という共通点を持つ山梨とネパール、
その知恵をつないで産後女性の健康、
生活改善をめざします

 助成金贈呈式は、遠山敦子トヨタ財団理事長より挨拶があったのち、研究助成プログラム選考委員長桑子敏雄東京工業大学大学院教授より選考結果についてご報告いただきました。アジア隣人プログラムについては、委員長三好皓一立命館アジア太平洋大学大学院教授がご欠席であったため、当財団常務理事伊藤博士が代わって報告いたしました。

 桑子委員長は、「プロジェクトとは、スタートがあってゴールがあるもの。アウトプットと同時にプロセスが大切である。しっかりとマネジメントしてすすめてほしい。また先例がほとんどないプロジェクトであれば予想外のリスクや予想外の成果もあると思うが、いずれもトヨタ財団としっかりとしたコミュニケーションをとって進めてほしい」とお話されました。

懇親会写真 挨拶をする伊藤道雄さん 1979年に開始した
「公益信託アジア・コミュニティ・トラスト」
(ACT)の経験からアジアにおける新たな「協同」の
あり方を探ります

最後に助成対象を代表して、研究助成プログラム相原洋子さん(山梨大学大学院研究員、D12-R-0164)、アジア隣人プログラム伊藤道雄さん(アジア・コミュニティ・センター21代表理事、D12-N-0119)よりご挨拶いただきました。
 伊藤さんはご挨拶の中で、参加者への提言として次のようなことをお話しされました。「助成金は社会変革のための資金。社会を変革していこう」「ここに集まった皆でもう一つのアジアを作っていきましょう。第三セクターは、人と人のつながり。第三セクター(市民セクター)が、第一セクターといわれる日をめざそう。」

 
 国境を越えた人と人のつながりが引き起こす社会変革の力に大きな期待を抱きます。助成を受けた方々とともにその実現に向けて歩んでいくことができればと思います。


※文中の助成対象者のお名前後に記載したDからはじまる番号は、トヨタ財団の助成番号です。「助成対象検索」に助成番号を入力していただくとプロジェクトの概要をご覧いただけます。

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