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財団イベント・シンポジウムレポート

9/15(土)公募説明会@新潟を開催しました(国内助成プログラム)

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    イベント・シンポジウムレポート

情報掲載日:2018年9月20日



9月15日新潟県女性財団女性団体交流室2にて新潟NPO協会と当財団共催で「トヨタ財団国内助成プログラムin新潟+しらべるコツセミナー」を開催いたしました。県内各地から15名程度の方にご参加いただきました。

冒頭、新潟NPO協会事務局長石本貴之氏と当財団プログラムオフィサー喜田が導入として対談を行いました。なぜしらべるという枠組みを設定したのか、どのような点を大事にしているのかなどざっくばらんにお話させていただきました。やりたいことありきではなく、課題解決に向けてとりくむ課題の問題構造や現状把握に取り組むことの重要性や調査を通じて関係者の巻き込みにつながることをご理解いただけたかと思います。


事例紹介では、昨年、トヨタ財団「しらべる助成」を受けて調査を実施し、その後本年4月から「そだてる助成」を受けている2団体より調査を実施した結果やそこでの学びについてご紹介いただきました。

せき・まちづくりNPOぶうめらん 北村隆幸氏

事例紹介

・「果たして郷土愛を醸成すれば(関市に人は)戻ってくるのか?」という問いを明らかにするために調査を実施。

・具体的には、「Uターンした人アンケートとヒアリング」「Uターンしてない人アンケートとヒアリング」「高校生アンケートとヒアリング」「人口構成分析」を実施した。Uターンした人の94%が34歳までという結果がでた。

・助成決定後の研修を経て、調べる対象を絞ったほうがよいと気づき関市へUターンしやすい人の仮説として「名古屋圏に出たアラサーの若者」を対象とした。

・調査結果を問題構造図としてまとめ、さらに具体的な事業戦略として「ぶうめらんの目標goal to 2021」にまとめた。

質疑
Q:仮説の立て方、だめな仮説とよい仮説

A:自分たちの調査は次のための調査。次にやりたいことを考えて、その裏付けになる調査をする。半分位は次の事業の展開を見据えて仮説をたてた。

Q:名古屋圏に絞った理由は?

A:想像。地域で活動しているとなんとなくそうだなと感じるものがある。それを数字的に表したかった。その後行政の調査で岐阜市が一番多いという結果があったので、本当は岐阜市に調査を絞ったほうがよかったというのが反省。

Q:対象者はどのように見つけた?

A:対象者の人に手を挙げてもらった。だいたい100を目指した。Uターンしたひとは60人。高校生は100人を対象とした。研究じゃないので事業に向けて走り出せるための人数に聞ければいいのではと考えた。

Q:高校生はどういう職を求めているのか。また親はどういう職を求めているか?

A:そこをもう少し深堀して調べたい。高校生の進路の基準。先生の意見としては、お金と余暇に偏っている。大学生はやりがいも出てくる。高校生自身はあまりその点は出てこない。あとは、3年後離職率を気にしている。

Q:34歳以上は、なんでUターンしないのか?

A:結婚して生活の拠点ができた。あとは仕事。現在考えているのが、関の外にいても兼業とかプロボノなど地域づくりに関われる仕組みづくりをしたい。

一般社団法人高根コミュニティラボわぁら 能登谷愛貴氏

事例紹介

・そだてる助成を応募しようと思っていたが、トヨタ財団に相談したらまずは調べたら?とアドバイスがあった。結果として「しらべる助成」で調査をしてよかった。

・棚田1300枚すべてについて、現状と10年後の耕作状況聞き取り調査、稲作農家へのアンケートを実施。空き家調査については一軒ずつ外観調査と所有者への意向調査を実施した。

・しらべる過程で手間や時間を惜しまず、人を巻き込むこと、臨機応変に計画を変更すること、しらべる先を見据えることが重要。

質疑
Q:人を巻き込むコツは?

A:まず、地域の行事などをきっかけに個人的なつながりを作って仲良くなっておく。1対1の個人的な関係が大事。協力してくれる地元の仲間が増えれば、巻き込める人も増える。

Q:地域内での人間関係で阻まれることはあるか?

A:何をやっても批判されないことはないと思う。何かやろうとしたら地域に多少の波が立つのはしかたないと割り切る。何をやろうとしているか個人的なつながりの中で地道に伝え、色々な意見を受け止めながら活動していく。

Q:若い人の意識変化はあったか?

A:高根という地域を支えている農業だが、地元の若者でも農業に関わっている人はほとんどいない。調査を一緒にやっていくことで田んぼを維持することの大変さに気づいた。また10年後の調査をすることで未来のことを考えるきっかけになった。

Q:未来が見えない、暗い結果。それをどう前向きに変換するか。

A:自分たちだったら何ができるかを考える。事業のアイデアのほとんどは飲み会から出てくる。実感のこもったアイディア。お酒の力を借りてばかりではないが、楽しんで考える機会をつくるようにしている。

しらべるコツセミナー「調査を設計する」




新潟NPO協会事務局長石本貴之氏から「調査を設計する」というタイトルで調査の基本についての講座が実施されました。以下ポイントをご紹介します。

  • しらべるとは、「かぞえる」「くらべる」「たずねる」「さがす」
  • 問題とは「どうなっているか=現状」「どうなればよいか=目標」とのズレ
  • 問題には、すでに起きている問題「発生型」、今より良くしたいという問題「探索型」、「この先をどうするかという問題「設定型」がある
  • 問題が起きている原因の中で手が打てるものを「問題点(=課題)」と呼ぶ。問題点の把握(仮説)が重要
  • ロジックモデルは仮説の集合体

このほか、具体的な調査方法とその特徴が紹介され、その後「調査計画表づくり」の個人ワークが行われました。すでに具体的な企画を検討していた参加者もいて、具体的な議論が各テーブルで実施されていました。

ワークショップ後、最後に当財団の国内助成プログラムの公募説明を行いました。「しらべる助成」では、なぜ問題が起きているかという「仮説」と同時に調査終了後にどのような事業を実施するかという「課題解決の仮説」も重要である点をお話させていただきました。また調査結果は必ず、報告・発信してほしいこと、そのことが周囲のステークホルダーの巻き込みにつながる点を事例を交えて紹介させていただきました。

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