財団イベント・シンポジウムレポート
9/5(水)公募説明会@東京を開催しました(国内助成プログラム)
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イベント・シンポジウムレポート
情報掲載日:2018年9月5日
9月5日(水)日本財団にてトヨタ財団「国内助成プログラム」公募説明会を開催いたしました。会場には主に関東近郊からの参加者が半数以上でしたが、中には北海道や東北、そして南は沖縄まで全国各地から約80名の参加者が集いました。
国内助成プログラム説明
プログラム・オフィサーの鷲澤が、トヨタ財団の説明、および国内助成プログラムの趣旨や事例紹介をおこないました。プログラムでは、「しらべる助成」「そだてる助成」の二つのカテゴリーを設定していますが、今回の説明会では「しらべる助成」に重点を置いて説明を行いました。
「しらべる助成」では、地域の抱える課題の現状把握や背景にある問題構造の把握が重要であること。そして事業に向けて様々なことを巻き込んで取り組むべき事業を検討してほしいと強調しました。また、「そだてる助成」は課題解決に向けて取り組まれる事業が対象となり、すでに課題の背景にある問題構造が明確になっている事業が助成の対象となるとお伝えしました。そして本年度は「基盤強化費」というプロジェクトメンバーの人材育成の為の費目も新たに設けているので、積極的に活用して頂きたいと紹介しました。
参加者の皆さまから、沢山の質問が出されましたのでご参考までに以下ご紹介します。
Q:団体の所在地と事業地が離れていても大丈夫か?
A:地域が離れていても問題ありません。事業が行われる地域の方と手を組んで協働されるということが大切です。
Q:地域の大きさは?
A:特に指定はありません。集落、市町村など事業ごとに違いますがおおよそ、都道府県以下位の範囲でご理解いただければ問題ございません。
Q:国内と海外で調査が必要なプロジェクトの場合はどのようにすればよいか?
A:海外の視察がプログラムに入った団体へ助成した事例があるので、採択されるにあたりネガティブに働くことはありません。ただし、あくまで国内の地域課題の解決に寄与する事業が対象です。
Q:基盤強化費(人材育成)への助成とは具体的にどのようなものか?
A:助成後も事業を続けられるような人材を育てるための研修参加費、講座開催費、他地域への訪問などが対象となります。
Q:「しらべる」と「そだてる」の両方への応募は可能か?
A:応募は可能ですが、過去に同時期に同じメンバーによる別のプロジェクトへ助成をした例はございません。
Q:問題構造の中で、一点に焦点を当てて改善事業を行いたいという企画書の作成でも大丈夫か?
A:問題ありません。企画書の設問3.では問題構造全体を、4.ではその中でプロジェクトとして取り組む事業を記載していただきます。
調査設計入門講座・助成事例紹介
講師の水谷衣里氏
続いて水谷衣里氏(株式会社 風とつばさ代表)を講師にお迎えし「調査設計入門講座」を開催しました。こちらの講座は「しらべる助成」にご応募を検討されているNPOや地域活動団体の皆様にはおすすめのセミナーになっており、社会調査に重点をおいて講義が行われました。セミナーの中では参加者の方々が二人一組になり、意見交換や共有する場面が多くあり、みなさん積極的に意見交換されている姿が見られました。
以下、水谷氏の講義のポイントについて紹介します。
- 調査の原理原則は、「知らないことを知る人に教えてもらう」こと。民間公益活動団体の場合、それを「課題を可視化」と「人の巻き込み」の機会とすることが大切。
- 手法は、仮説に基づき①文献調査、②聞き取り調査、③サーベイ調査(アンケート調査)の大きく3つに分かれる。
- 仮説とは?真偽は、ともかくとして、現象や法則性を説明するのに、役立つ命題。すべて「もやもや」からスタートする。
- 仮説は柔軟に修正していくことが大切。そのためには裏切られやすい(棄却できる)仮説を作ること。そのためには分解すること。
- その手がかかりになる問には例えば「ステークホルダーは誰なのか」「支えたい人はどこにいて、何を考え、どんな姿をしているか」といった点がある。
また、社会調査について参考になる書籍についてもご紹介がありました。「実践社会調査入門―今すぐ調査を始めたい人へ」(玉野和志著)、「社会調査の考え方」(佐藤郁也著)。
助成事例の報告
事例報告(伊藤次郎氏)
次に、2016年度、2017年度「しらべる助成」助成対象である伊藤次郎氏(NPO法人OVA 代表理事)をお迎えし助成事例のご報告をして頂きました。助成事例の報告では、「しらべる助成」を申請するにあたり、どのような問題があり、受益者へ支援を届けるためにどのような調査や工夫、そしてプロセスを積み上げていったのかのご説明がありました。また、専門家の力を借りることも重要だということを参加者の皆さんへご報告がありました。
質疑応答
上記お二人(水谷氏、伊藤氏)の報告に対し、参加者からは沢山の質問が出されました。ご参考までに以下ご紹介します。
Q:調査やキックオフ、イベントを開催する際の人の呼び方はどのようにしているのか?
A:(伊藤氏)タイトルを工夫するなど、当事者に「あなた」と自己認識していただけるような呼びかけをするのが重要です。また登壇者の力を借りることもよいと思います。
Q:プロダクト制作の労力はどう解消しているのか?
A:(伊藤氏)冊子のデザインなどは助成金に含まれていたりするので計上して問題ないと思います。基本的には人件費に計上するのが適切だと思われます。
Q:社会貢献活動全般的に行政との連携も重要になってくると思うが、行政に対するアプローチはどのように考えているか?また、行政との業務の棲み分けは?
A:(伊藤氏)行政と協働で事業を行うことが多いので、調査する段階で行政の担当部署へ協力してもらうということも大切だと思います。まずは気軽に行政へ積極的に連絡してみると良いと思います。
Q:「しらべる助成」に申請をしようと思っていたが、申請する段階である程度の調査が必要という認識でよいのか?
A:(水谷氏)基本的には、その認識になると思います。ただかけられるコストなども団体によって違いますし、助成金審査は相対評価なので、「どこまでやったら採択されるか」は分かりません。でも今回の申請に採択されなかったとしても他の申請や、次年度の申請に繋がることもあります。まずはステークホルダーや仲間と話し合うところから始めてみてください。
個別相談
最後に希望者による個別の応募相談をお受けした後、説明会は終了となりました。
引き続き、各地で公募説明会を実施していきます。詳しくはこちらをご覧ください(http://www.toyotafound.or.jp/community/2018/tevent/2018-0823-1504-6.html)。
CANPAN ブログ:http://blog.canpan.info/cpforum/archive/1559
水谷衣里氏 ブログ:http://www.kazetotsubasa.com/4115/