財団イベント・シンポジウムレポート
2016年度助成対象者中間報告会を開催しました(国内助成プログラム)
-
国内助成 ctgr02 ctg02 ctg07
イベント・シンポジウムレポート
情報掲載日:2018年4月20日
4月14日(土)に新宿三井ビル29階会議室にて、2016年度国内助成プログラム「そだてる助成」の中間報告会を開催しました。
本報告会は、2016 年度に「そだてる助成」を受けられた9団体から、この1年間に実施された取り組み内容を各事業のロジックモデル(※)に即して報告いただき、活動の中で見えてきた課題や学びなどについて参加者と議論することで、残り1年間の活動の事業戦略の見直し・改善を行っていただくことを目的に行われました。報告会には、報告団体である2016年度「そだてる助成」9団体に加えて、2017年度「そだてる助成」「しらべる助成」助成対象団体23団体と、コメンテーターのIIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表川北秀人氏にご参加いただきました。
報告会は、グループワーク、振り返り(アクションプランの検討)、全体共有という流れで行われました。
(※)ロジックモデル:プロジェクトがどのような道筋で目的を達成しようとしているのかの仮説(戦略)を示したもの。
グループワーク
グループワークの様子
グループワークでは、グループ内にいる報告団体が申請時に作成したロジックモデルを用いて、プロジェクトの目的と戦略、目標の達成度と進捗、そして現在抱えている課題について報告し、他の参加者がその内容を受けて(1)参考になった点、(2)質問、(3)改善に向けたヒントについて付箋に書き出し共有するというワークを行いました。
「LGBTでもありのままでオトナになれる社会」を目指す特定非営利活動法人ReBitの薬師実芳さんが、LGBTを学校現場で支援するアライ(ally)先生をどう増やすか悩んでいるという課題を報告すると、参加者からメリットが見えやすい「資格や認証制度はどうか」といった具体的提案がありました。
茨城県常総市で、外国籍住民のキャリア支援や生活支援をしている茨城NPOセンター・コモンズの横田氏が外国籍児童のキャリア選択の課題について報告すると、京都や山口の山間部でプロジェクトに取り組む参加者から「人口が減る地方においては、国籍問わず歓迎される。地域間で連携して人を育てる仕組みができるとよいのでは」という意見がでていました。分野・地域を超えた意見交換がそれぞれの活動の可能性を広げるきっかけとなっていたようです。
振り返り・アクションプラン検討
グループワーク後は、ワークを通じて得た学びや気付きについて「今日の学びシート」を用いて参加者各自で振り返りを行ってもらいました。他地域・他分野の取り組み事例に触れることで、参加された団体の多くが、様々な気付きや学びを得られたようで、自分たちのこれからの取り組みに活かしていこうとしている様子が伺えました。
「分野が違っても共通項は案外ある」
「失敗から学ぶことも多い」
「今年度の取組み方向が明確になってきた」
「運営者側の孤独感を消すために、巻き込みや役割を与えることが重要」
「在住ブラジル人たちのお話、自分のまったく知らない世界で新たな発見があり、すぐにでも現場へヒアリングに行きたいくらい」
「地域を巻き込むためには、地域と同じ目線が必要。年代別にスピード感が違うので、速度合わせも大切」
また、報告を行った2016年度の助成団体も、ワークを通じて得られたアドバイスや学びをメンバー間で共有しつつ、今後のアクションプランについて検討を行っていました。報告団体からは、「活動に対して様々なフィードバックがもらえて良かった」「第3者の視点からヒントをたくさんもらえた」といった感想も寄せられ、ワークを通じた参加者同士の相互の学びあいが、個々の取り組みをより良いものへと成長させているように感じられました。
全体共有
全体発表の様子
振り返りの後は、全員に集まってもらい、特に他地域の参考になりそうな3団体に課題や当日の学びをご発表いただき、質疑応答を行いました。
宮城県石巻市で農業を軸とした就労支援と移住サポートを実施している「一般社団イシノマキ・ファーム」代表の高橋由佳さんは、地域との連携を強化したいという相談について会場からは「イベントを続けるのがいいのでは」とのアドバイスも。
宮城県石巻市で、新しく高齢者見守りサービスを立ち上げた、「一般社団法人りぷらす」代表の橋本さんはユーザーの獲得に悩んでいました。会場からは「終活支援に力を入れているお寺のネットワークがあるので、そういったところと連携してみては」というアドバイスがありました。
IIHOE代表川北秀人氏による総括コメント
最後に、コメンテーターの川北秀人氏から総括コメントを頂きました。各報告団体に対して具体的なアドバイスや、参考となる事例や手法の紹介があり、他の団体の参考にもなっていたようです。川北氏は、最後に「事業を大きくするより、対象(受益者・当事者)と社会にとって、より良い変化をより早く、より大きくしてほしい。」と締めくくりました。
回収できた34人分のアンケートによると、今回の中間報告会の満足度は25名が90点以上という高評価でした。これは、助成対象者の皆様の積極的な参加のおかげだったと感じております。ありがとうございました。一方で、「もっと交流したかった」「もっと川北さんの話を聞きたかった」「事前に発表団体の資料を読みたかった」など、たくさんの改善提案もいただきました。これらは来年の中間報告会に反映させていきたいと思います。
(国内助成グループ プログラムオフィサー 加藤 剛)