財団イベント・シンポジウムレポート
国内助成プログラム助成対象者ワークショップを開催しました
情報掲載日:2015年4月20日
2015年4月11日、新宿三井ビルにて、2014年度国内助成プログラムの助成対象者向けのワークショップを実施しました。このワークショップは、各プロジェクトの立ち上げを支援するとともに、助成対象者間の交流を目的としたもので、20のチームから29名の参加がありました。
ワークショップでは、プログラムの趣旨を改めて確認するとともに、株式会社エンパブリックの広石拓司氏によるファシリテーションのもと各プロジェクトの10年後の目標を設定し、その目標からプロジェクト期間中に実施する活動を振り返って考えていただきました。参加者は、同じテーブルの方々に自分のプロジェクトを紹介することで頭が整理されると同時に、他のプロジェクトの話を聞くことによって刺激を受けられていたようです。
ワークショップの最後に、「2年後に各地で生まれている『新しいコミュニティ』の芽」というテーマで、助成期間終了時にそれぞれのプロジェクトが各地域にもたらしたいと考える変化を付箋に書いて共有しました。
2014年度国内助成プログラムでは、中長期の成果・目標として「地域に適した持続可能で、人々が幸せを実感できる安心安全な社会の実現」を掲げ、「未来の担い手と創造する新しいコミュニティ―地域に開かれた仕事づくりを通じて―」というテーマで公募を実施しましたております。ワークショップで各参加者からご提示いただいた「2年後に各地で生まれている『新しいコミュニティ』の芽」を整理した結果、2014年度の国内助成プログラムが目指す、より具体的な方向性が見えてきましたので共有させていただきます。
「『新しいコミュニティ』の芽」は、図のように6つのキーワードに分けることができると考えました。2年間でどのような変化を目指すのか各キーワードごとに具体的にどのような変化が提示されているかご紹介します。
地域資源の活用
竹林・森林・農業・文化など様々な地域資源が可視化され、商品化され、地域の特産品としてブランド化されて流通している。そのことを通じて、地域資源の次世代への継承や持続可能な利用が実現する。
参加を促す場・情報・仕組み
地域資源でもある空き家や廃校が、地域内外の若者や住民同士の交流や移住を後押しするような場になる。場の提供に加え、地域内外への情報共有や参加の仕組みをモデル化する。
地域外の変化
場・情報・仕組みの提供を通じ、地域外の若者や子育て世代、企業の地域に対する関心が高まり、都市と農村の交流がこの先2年間で増えていく。
地域内の変化
チームのビジョンが地域住民に共有され地域内のステークホルダー(利害関係者)は、各プロジェクトの応援者となり、従来の枠組みを超えた協力・協働が起きている。
新たな参加
新しい活動の場の提供と地域の応援により、出番と居場所(働く場)が作られ、これまで地域コミュニティの中で参加の機会があまりなかった主婦や引きこもりの若者、障がいを持った方々が新たに地域に参加し、役割を感じるようになる。
住民自治・主体性
地域のことは地域の人たちが自分たちのこととして考え、受け身でなく自分で動くことが面白いと思う人が増える。
2014年度国内助成プログラムの全体に共通する成果目標として、「地域資源の活用、地域内外のつながり、多様な主体の参加と自治を実現し、それを基盤にしながらそこから産業や仕事を生み出し、住民主体の新しい経済のしくみを各地域で作る」という具体像が見えてきました。
様々な地域で実施される異なるプロジェクトを、1つの助成プログラムとして評価していくのは簡単ではありません。しかし、よりよいプログラムの企画・実施のためには、個別のプロジェクトの評価だけでは不十分と考えました。今後、助成を受けて実施される各プロジェクトが各地域にもたらす変化を俯瞰的に捉え、成果発信やプログラムの改善に活かして参ります。今回のワークショップはそのための重要な一歩でした。2年後、どのような「『新しいコミュニティ』の芽」が各地域で出ているか今から楽しみです。(加藤記)