公益財団法人トヨタ財団

トヨタNPOカレッジ「カイケツ」

トヨタNPOカレッジ 「カイケツ」第4期第4回レポート

kaiketsu
カイケツ


情報掲載日:2019年8月7日

「真因の追求なくして真の対策立案なし」

魚の骨のように要因を洗い出す「特性要因図」
魚の骨のように要因を洗い出す「特性要因図」

トヨタ財団は7月18日、トヨタ自動車の問題解決手法をNPO向けに伝えるトヨタNPOカレッジ「カイケツ」を開き、問題に対しての真因(真の要因)を突き止める「要因解析」を行いました。参加したNPOの代表者らは、現状把握したデータをもとに、何が真因かを探っていきます。

「要因解析」は、取り組む問題に対する真因を特定するステップで、その真因に対する対策立案につながります。

鈴木直人講師(日野自動車TQM推進室主査)は、「真因の追求は、良い対策に結び付く」とし、「真因は、それを解決できれば問題が解決されるレベルのもので、真因にたどり着くまでじっくり考え抜くことが重要だ」と話します。

例えば、ある業務ができない人がいるとして、「本人が悪い(あるいは上司が悪い)」では解決しません。できない理由が「教育がない」でも不十分。「なぜ教育が必要なのか」「なぜ教育できていないのか」「教育する時間がないのか、ルールがないのか、教育者がいないのか」など、深掘りする必要があります。

要因解析の手法の一つとして、よく知られているのが「特性要因図」(フィッシュボーン図)です。魚の骨のように、要因を洗い出すのが特徴で、「人」「方法」「設備」「製品・材料」の観点から要因を探ります。

「要因はたくさん出てくるはず。真因として正しいかをどうか、判断できるのか」との質問に対しては、「100%の正解はない。だからこそ、現状を数値で把握し、みんなで話し合いながら、さまざまな視点で要因を解析することが大切だ」と鈴木講師は指摘します。

「対処療法ではない」対策を

要因解析を進めるICYEジャパンの又吉莉奈さん(中央)と細見講師
要因解析を進めるICYEジャパンの又吉莉奈さん(中央)と細見講師

NPO法人ICYEジャパン(東京・新宿)は、アジア、アフリカ、中南米、欧州の世界43か国でボランティアやインターンの派遣・受け入れを行っています。ドイツに本部を置くICYE(国際文化青年交換連盟)の日本法人で、1958年に日本キリスト教奉仕団(JCWS)が母体となって活動を開始しました。

事務局の又吉莉奈さんは、大学で教育学を専攻し、南アフリカ共和国に留学した経験から、「世界を知りたい」と思う人たちのために働きたいと考え、ICYEジャパンに入職しました。

働きがいを感じる一方で、専任の事務局スタッフは一人のため、日々の仕事に追われ、仕事が属人的になりやすかったと振り返ります。

「プログラムの質を高め、団体の可能性を広げる新しい企画にもチャレンジしたい」と語る又吉さんは、ルーティン業務を効率化し、新たな仕事に取り組める時間の確保を目指しています。要因解析の結果、業務の「見える化」や、ルール化の必要性などが見えてきました。

細見純子講師(中部品質管理協会企画部次長)は「問題に気付くことが一番重要。頑張れば一人で業務がまわるかもしれないが、より良い仕事をしたいという思いがあれば、ありたい姿を描いて、何が足りていないのか、深いところで考える必要がある」と話します。

さらに「問題点に気付くと、すぐに対策を立てたくなってしまう。それ自体は良いことだが、じっくりと真因を探らなければ、対処療法で終わってしまう」と強調しました。

決まった議題をどう遂行するか

公益財団法人日本ケアフィット共育機構(東京・千代田)は、誰もが暮らしやすい共生社会を目指し、「サービス介助士」「防災介助士」「認知症介助士」の普及に取り組んでいます。「おもてなし」と「介助」の資格「サービス介助士」では、車いす利用者の交通機関での介助や視覚に障がいがある人の手引、聴覚に障がいのある人への接客など、日常生活で実践できる接遇を学ぶことができます。

同法人の佐藤雄一郎さんは、「研修やコンサルティング、情報発信などさまざまな事業があるなかで、組織全体で情報を共有したい」という思いから、カイケツに参加しました。

毎週開かれる会議で、事業や制度に関するさまざまなアイデアが出るものの、部署間で情報共有がうまくいかないこともあり、決まった議題を継続しきれないという課題を抱えていました。なぜ継続できなかったのか、一件一件、丁寧に現状把握を行い、さらに要因解析を進めていきます。今後、会議で決議された議案が完遂できる状態にすることを目指しています。

要因解析のワークショップを終えて、参加者からは「日々の業務に追われてしまうが、問題を解決するためにじっくりと真因を探っていきたい」「自分しかできないと思い、仕事を抱え込んでいたが、業務を『見える化』することで、ほかの人でもできることに気付いた」といった声が寄せられました。

現状把握の結果を説明する日本ケアフィット共育機の佐藤雄一郎さん
現状把握の結果を説明する日本ケアフィット共育機の佐藤雄一郎さん(中央)

トヨタ財団は2016年、社会課題解決の担い手であるNPOに問題解決力を身に付けてもらうことを目的に「カイケツ」を開始しました。第4期は、さまざまな社会課題に取り組む20団体約30人が参加し、約6カ月間かけて問題解決の8ステップに取り組んでいます。

講師は、鈴木講師、細見講師のほか、トヨタ自動車業務品質改善部の古谷健夫主査、元トヨタ自動車でのぞみ経営研究所の中野昭男所長の4人が務めています。

次回(第5回)のカイケツは8月8日に開催され、問題を解決するための「対策立案」を行います。

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