公益財団法人トヨタ財団

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論文「データ・ドリブン・ミスコミュニケーション ―パーソナルデータ利活用のあり方を市民共創するプロジェクトから見えてきたこと」がサービス学会第11回国内大会にて発表されました

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先端技術
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成果物(書籍・論文・映像等)

情報掲載日:2023年5月9日

2021年度トヨタ財団〈特定課題〉「先端技術と共創する新たな人間社会」の助成プロジェクト「市民共創でデザインする未来のパーソナルデータ利活用のあり方」(代表者:北崎允子氏、D21-ST-0015)による成果物(論文)がサービス学会第11回国内大会「Serviceology in Designing the Future Society 未来社会をデザインするサービス学―デジタル革新と創造力の両輪で価値共創の未来社会へ―」にて発表されました。

Society5.0の実現に向けて政府や企業は、パーソナルデータの利活用によるイノベーションの創出を推進しています。そのシナリオとして、センサーが取得した様々な個人のデータと人工知能を用いて、より価値の高い情報を人々が享受する未来が描かれ、近年、具体的なサービスが私達の生活に入り始めています。一方、大規模な意識調査では、データ利活用への不安が期待に対して大きいと答えた人は、その反対と答えた人の倍以上の割合にのぼります。このような背景から、我々は、トップダウンではなくボトムアップで、技術の影響を直に受ける利用者たちがイニシアチブを取り、データ利活用の未来のあり方を探る活動「CoDa(Co-speculation for future Data use)」を行なっています。我々は本活動のケーススタディの一つをワークプレイスとし、その第一フェーズとして、働く人たちのデータ利活用サービスの利用の体験や意識を理解する調査を行いました。具体的には、15名の働く人々に対するエスノグラフィック・インタビューで、普段のサービスの利用を再現してもらいながらコミュニケーションを取ることで、潜在している意識や、日々の状況に埋め込まれた経験を表出させました。オープン・コーディング分析の結果、働く人々は、データという新たなチャネルを通してやりとりすることで起こりうるミスコミュニケーションに対し、ストレスを感じ、また、うまく事を運ぶための工夫を模索していました。また、分析の結果、我々は、働く人たちのデータ利活用に対する反応の典型を9つのタイプに分類することができました。

本稿では、データ利活用サービスの現状、CoDaプロジェクトの狙い、データ利活用サービスの利用体験に関する先行研究調査、本スタディの方法、発見を報告します。そして、本スタディから明らかになった、データ利活用が浸透すると同時に発生する可能性のある、人々の間の意図の齟齬「データ・ドリブン・ミスコミュニケーション」の概念を議論します。さらに、9つのデータ利活用サービス利用者のペルソナの仮説について議論します。

※論文はプロジェクトのホームページからダウンロードできます。

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