HOME  >  広報誌「JOINT」  >  助成対象者からの寄稿  >  『「好き」で仕事をつくるナリワイ起業』書評

助成対象成果物へのレビュー

『「好き」で仕事をつくるナリワイ起業』書評

2014年度国内助成プログラム・2018年度社会コミュニケーションプログラムで起業に関するプロジェクトを行った井東敬子氏の成果物として発行された書籍について、2022年度特定課題「先端技術と共創する新たな人間社会」助成対象者の大黒健嗣氏に書評をいただきました。



〈書籍情報〉

書名
「好き」で仕事をつくるナリワイ起業─地域が変わるスモールビジネス
著者
井東敬子
出版社
彩流社
定価
2,090円(税込)


〈助成対象者情報〉

[助成プログラム]
2018年度 社会コミュニケーションプログラム
[助成題目]
わたしたちの働き方改革!ーナリワイ起業を働き方のスタンダードへこのリンクは別ウィンドウで開きます
[代表者]
井東敬子(鶴岡ナリワイプロジェクト )


【書評】自分ゴトを育てる方法

執筆者 ◉  大黒健嗣(大黒株式会社)

[助成プログラム]
2022年度特定課題「先端技術と共創する新たな人間社会」
[助成題目]
新しい贈与経済圏の構築:ブロックチェーン技術の社会的有用性の検証を通じてこのリンクは別ウィンドウで開きます
[代表者]
大黒健嗣(大黒株式会社)

本書は、今の生活に物足りなさを感じていたり、社会のために自分のできる活動をしたいと考える同時代のあらゆる人々に向けた実用的なガイドとして非常に価値の高い一冊です。著者が提唱するのは「自分の好きなコト」と「誰かの役にたつコト」を結びつけることで月3万円の収益を生む小さな「ナリワイ起業」です。

著者は、等身大の事業を自分の手でゼロからつくることが、自分を知ったり表現したり、社会とポジティブな関わり合いをもつ実感を得たり仲間が生まれたり、成長を実感できたりと、それぞれが人生をより豊かに生きる術になりうると言います。そしてそれは、便利依存から抜け出し〝自分ゴト〟の精神を携えて相互扶助する高度なコミュニティの醸成につながっていく可能性までを示しています。一人一人の当事者意識をいかに高められるかがあらゆる領域で大切な課題である現代において、本書で解説される「ナリワイ起業」は、皆が今から始められる一歩目として提示されています。

本書の最も素晴らしい点は、解説されるその手法がおそらく誰もが自分にも実行可能だと感じられ、希望が湧いてくるところにあります。

本書の中には、ナリワイ起業の実践的なプロセスとそれに従うワークシートが用意されています。順を追ってこれを埋めていくことで、読者にとってベストな「ナリワイ」のヒントを発見し、ブラッシュアップしながら事業計画におとしこみ、そして実際に活動に踏み出すところまでを、無理せず質の高い状態で案内してくれることでしょう。このように本書は「ナリワイ起業」の実践マニュアルとして非常に実用的であるのが大きな特徴です。

また著者は、迷ったり自信を持てない読者にも寄り添いながら、できることから始められる方法で丁寧に語りかけてくれます。この等身大のアプローチは起業の指南書でありながら自然体で読めて、背伸びすることなく動き出してみようという気にさせてくれます。

情報化や多様化、また究極の便益化の一方で、幸せや成功の価値基準は複雑化し自分がどうありたいか・社会がどこに向かうべきかを見出すことが難しくもなる時代にあって、自分の「好き」をみつけ、誰かの小さな助けになり、社会と関わりながらそれに取り組む手段を学び実践するこの「ナリワイ起業」は、生きがいを見出すうえでも非常に効果的です。さらに、「自分ゴト」意識を高くもって生きる人が増えることはやがて社会にも大きな影響を及ぼすはずです。

本書の中で印象的なフレーズであった「一人の100歩より、100人の一歩」。これを著者は具体的な手法をもって後押ししてくれます。 

このページの先頭へ

このページのトップへ