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プロジェクトイベント・シンポジウムレポート

ワークショップ「〈災害時経済〉と市民社会-支援と自立を目指す市民事業」」が開催されました(研究助成プログラム)

情報掲載日:2016年4月19日


プログラム研究助成プログラム
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研究助成プログラムの助成対象者より、ワークショップ「〈災害時経済〉と市民社会-支援と自立を目指す市民事業」」の開催レポートが届きました(代表者:似田貝香門氏、D14-R-0145)。

本プロジェクト(「〈災害時経済〉の下でのモラル・エコノミーとボランティア経済(圏)の生成と展開―復興の社会経済分析―」)の概要は、助成対象検索ページより【D14-R-0145】で検索してください。


ワークショップの様子

3月26日(土)、〈災害時経済〉プロジェクト(研究助成プログラム)+東京大学被災地支援ネットワーク共同主催ワークショップ;「〈災害時経済〉と市民社会-支援と自立を目指す市民事業」を開催しました。

本プロジェクトは、災害時における、復旧過程の全体を捉えるには、災害時の公的資金支援分析の他、災害時の経済的支援活動、民間の支援金、非貨幣的なボランティア活動など、災害時の復旧・復興の資金・活動等の広い意味でのエコノミ-の重層性と全体をみる必要があり、そのため〈災害時経済(Disasters-Time Economy)〉と〈モラル・エコノミーmorals economy〉、〈ボランティア経済圏〉概念を準備し、それらの概念のもとに実態調査研究を行う。それとともに市民等の供出・寄附・活動による〈災害共同財(commons)〉ともいえる市民共同財の形成による「連帯経済」(わかちあい)という社会的仕組みの芽生えを明らかにし、地域再生のプログラムと、災害時に形成される「市民社会」の「連帯経済」の物的基盤の特異的条件を明らかにすることを目的としている。
既にその実践として、2012年から岩手県において、「復興グッズ被災地グッズ主宰団体連携会議」*を組織し、被災者の「生きがい仕事づくり」のための共同販売を始めた(5回開催)。

今回は、以下のことを念頭においてワークショップを行った。5年を経た私どもの東日本大震災の支援活動で、今後、被災地や被災地の支援組織と今後どのように関わり合っていくのか、私たちの支援活動の方向性をどのように考えていくか、等の多くの課題を、阪神・淡路大震災以来、20年以上蓄積された支援活動や市民事業へのサポート体制等を学ばせていただこうと思い、東京大学被災地支援ネットワーク**と共同で開催した(2016年03月26日(土)13:00〜17:00、会場;兵庫県県民会館1201会議室)。

このワークショップによって、これによって、東日本大震災支援の現在の活動指針や、自立のため支援をする日本社会の課題群にどのようなアプローチや考え方をすすめていったら良いのか、実践理論的にも、支援活動や市民活動をサポートする市民社会のあり方を、学ばせていただいた。

報告者は、江口聰(「しみん基金KOBE」事務局長)、村井雅清(被災地NGO恊働センター顧問)、高尾具成(毎日新聞阪神支局)、山口一史(ひょうご・まち・くらし研究所 常務理事)であった。また阪神・淡路大震災、東日本大震災の支援活動や市民事業団、大学研究者約20名が集まって、活発な議論を行った。

以下、箇条書き風に論点を紹介しておく。

1)災害後、3年たつと、支援団体の減少が起きる。その大きな原因の一つが、支援団体を支える財源的限界である。市民活動の財源のパイプが細くなる。

2)しかし、市民が市民活動を支え、よって「支援と自立を目指す市民事業」確立を目指すには、市民が運営・管理する仕組みの基金が必要であると考えられ、そこでコミュニティ財団をつくる、有識者・関係者による「コミュニティ・ファンデーション研究会」が組織され、研究・協議が行われたが、成案を得るに至らなかった。

3)阪神・淡路大震災では、日本財団等の外部からの資金による「基金」がつくられていたが、それが解散するに当たり、その基金の残金を基本財産とする、日本で初めての社団法人型のNPO「しみん基金Kobe」が創設される。この基金を基にして「草の根市民活動」に対する支援を通じて、震災で学んだ『市民主役の市民社会形成』を目指された。

4)これを契機に、複数の基金が創設されていく。「コープともしびボランティア振興財団」、「ひょうごボランタリープラザ」等6団体の活動紹介、また震災時の「阪神・淡路大震災復興基金」から、その後、兵庫県施策として、「被災地コミュニティ・ビジネス離陸応援事業」、「生活復興県民ネット諸事業」、「生きがいしごとサポートセンター」等市民活動への多様な試みが継続している。

5)東北被災地からも、参加者を得て、阪神・淡路大震災と東日本大震災の支援活動やその基盤となる風土の相違、差異、についての討論が行われ、今後の課題を残した。

6)神戸から東日本大震災の被災地への相互交流を、またその双方が、新たな復興論と社会を創り上げていくため、今後もこのような機会をつくりたい、という司会者の暫定的総括で終了。

今回のワークショップでは、震災の支援活動をきっかけに、「市民」が公共を担うため、市民による市民事業を支える、という考え方が最も重要な基金等の創設という形で根付いていく経過と、「市民社会」が公共を支えるあり方に到までの、21年間のあゆみ、やその持続の苦労も含め、十分に報告討論がなされた。同時に、「市民社会」、市民を主体とする活動が、東日本大震災の支援基盤、被災地の精神風土の相違、差異等も大きな課題となった。
http://www.colle-color.com/  
**http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~utshien/Project.html

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