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トヨタ財団について

ごあいさつ

会長ごあいさつ

2024年の新年のご挨拶を申し上げます。

2024年4月に国立社会保障・人口問題研究所が新たな将来人口推計を発表しました。それによれば日本の総人口は2020年の1億2,615万人から2070年には8,700万人に減少し、日本人人口は、2020年の1億2300万人から2070年には7,761万人に減少すると推計されています。(いずれも中位推計) 日本の人口は2011年以降連続で減少しており、前年に比べて2023年の総人口は60万人、日本人人口は82万人減少しました。総人口は鳥取県の人口に等しい規模、日本人人口は佐賀県の人口に等しい規模で毎年減少していることになります。

2022年の出生数は80万人を切り、人口減少の中で少子高齢化が急速に進んでいます。前述の中位推計によれば総人口に占める65歳以上人口の割合は2020年の28.6%から2070年には38.7%に上昇するとされています。急激な人口減少と少子高齢化が進んでいくと、将来ほとんどの経済社会システムが維持できなくなることが懸念されます。

既にさまざまなところで労働力不足が顕在化しています。各地で運転手不足に伴いバスの減便や路線廃止、タクシーの不足が生じ、物流分野では「24年問題」に向けてトラックの運転手の確保が課題になっています。今後、経済社会の多くの分野において、必要な人材が確保されていることを前提に当たり前と考えられていたサービスやものの供給のあり方は変容していかざるを得ません。

こうした状況に対応するためには、社会全体として生産性を継続的に向上させていくことが極めて重要です。これまでの常識にとらわれずすべての分野で仕事のやり方や業務を不断に見直し、それを前提に飛躍的に発展しているAI等のデジタル技術、ロボット等を最大限に活用することが求められます。トヨタ財団は、2018年度から特定課題「先端技術と共創する人間社会」を設定し、AIやIoT、ロボットなどの先端技術をめぐる社会的課題に対応する研究プロジェクトに助成を行ってきましたが、変化する社会のニーズを見極めながら引き続き助成の改善を行っていきます。

日本では現在200万人近い外国人材が様々な分野で働いていますが、人口減少進展の中でなくてはならない存在として一層拡大していくことが予想されます。トヨタ財団は2019年度から特定課題「外国人材の受入れと日本社会」を設け、外国人材が能力を最大限に発揮できる環境づくりのための調査研究や状況改善に向けた仕組みや制度構築に取り組む活動に助成を行っていますが、高度人材分野を始めとして社会全体に貢献することが期待される事業への助成の充実を図っていきます。

こうした二つの特定課題での取り組みに加え、2024年度以降、人口減少への対応や次世代育成等に関してトヨタ財団としてどのような実効性の高い助成が可能か幅広く検討し実行していく方針です。

2024年にトヨタ財団は設立50周年を迎えます。この間多大な支援をいただいたトヨタ自動車を始めとする関係者の皆様に改めて感謝を申し上げます。現在、50周年を記念する特別助成、国際シンポジウム、特別サイトの立ち上げ等いくつかの記念イベントの準備を進めています。

次の50年においては、これまでに蓄積した知見や経験を大切にしつつ、今後一段と変化のスピードが速くなる内外環境の中で、常に変化を先取りし真に社会に貢献するイノベーティブなトヨタ財団を目指して参ります。皆様の引き続きの厳しくも温かいご指導とご支援をよろしくお願い申し上げます。

2024年1月
公益財団法人 トヨタ財団
会長 小平 信因

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