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プロジェクトイベント・シンポジウムレポート

シンポジウム「退職者を歓迎し、社会的参画を可能とする受け入れ国としてのタイ―外国人退職者のタイにおける就職環境の向上に向けて」が開催されました(国際助成プログラム)

情報掲載日:2014年10月14日

イベント・シンポジウムレポート

シンポジウム「退職者を歓迎し、社会的参画を可能とする受け入れ国としてのタイ―外国人退職者のタイにおける就職環境の向上に向けて」が開催されました(国際助成プログラム)

9月23日(土)、2013年度の国際助成プログラムの助成を受けたプロジェクト(D13-N-0193)の一部として、タイ開発研究所(TDRI)主催のシンポジウム「退職者を歓迎し、社会的参画を可能とする受け入れ国としてのタイ―外国人退職者のタイにおける就職環境の向上に向けて」が、バンコクにて開催されました。同プロジェクトは、タイに住む外国人のなかでも、退職者に着目し、彼らをタイ社会に受け入れるための法制度整備に向けた政策提言を作ることを目的としています。本シンポジウムでは、これまでのリサーチで得たデータを共有し、最終的な政策提言への参考として、関係者から広く意見を募ることを狙いました。

当日は、タイの労働省、観光省、教育省などの政府関係者および研究者、民間企業関係者約30名が出席しました。本プロジェ クトの代表者であるヨンユス氏(TDRI 研究ディレクター)によれば、現在は生産年齢人口の割合が高いタイも、近い将来に高齢化社会を迎えます。これを背景に、同氏は外国人退職者のスキルや知識 をタイの社会に移転・還元することが重要であると考えています。しかし、タイでは関連する法制度が未整備であり、今後充実させていく必要があるとして、政府に向けた提言を行うプロジェクトをリードしています。

冒頭、同氏から、これまでのリサーチで得られたデータとその分析が発表された後、会場との質疑応答となりました。次々に手を挙げた参加者からは、期待と懸念の両方が寄せられました。

外国人退職者への期待としては、英語や中国語などのスキルを活かし、タイでの教育や観光業に貢献してもらえるのでは、というコメントがありました。また、ロボットを始めとする、タイに不足しているテクノロジー分野で知識移転をしてもらうのはどうか、という意見もありました。

一方で、指摘された懸念は次のようなものです。現在のタイの若者は将来の高齢者だが、その多くが高等教育を受けておらず、付加価値を生み出すスキルを持っていない。外国人退職者が多くなることで、彼らが低賃金かつ単純なサービス労働に集中してしまうのではないか。国内の労働者・高齢者の雇用が影響を受ける可能性も考慮されなければならない、という意見です。

シンポジウムでは、外国人退職者のスキルを活用してタイ社会に貢献してもらうための具体的な案と合わせて、明確な反対論はなかったものの、慎重に検討すべき点が指摘されました。これら意見を取り入れつつ、今後プロジェクトメンバーは政策提言を作成し、公開する予定です。

経済成長よりも早いスピードで高齢化が進むことで、いわゆる社会の成熟よりも前に社会基盤が脆弱になってしまうという危惧は、タイだけでなく、他の多くの中進国・途上国が共有しているものではないでしょうか。議論を聞きながら、高齢社会をすでに迎えている日本には、他国の先例となって高齢化への対応策を示すことが期待されていると思うと同時に、外国人退職者を活用するという発想に新しさを感じました。今後まとめられる提言が、日本をはじめとする他国の参考にもなることが期待されます。

本プロジェクトの概要は、「助成対象検索」から「チャラムウォン・ヨンユス」と入力して検索してください。

シンポジウムの会場の様子

シンポジウムの会場の様子

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