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プロジェクトイベント・シンポジウムレポート

「アジア砒素ネットワーク国内ワークショップ:未来の水の利用のあり方を考える」(東京)が開催されました。(アジア隣人プログラム)

情報掲載日:2013年6月7日

イベント・シンポジウムレポート

「アジア砒素ネットワーク国内ワークショップ:未来の水の利用のあり方を考える」(東京)が開催されました。(アジア隣人プログラム)

ANN石山氏よりワークショップ趣旨の説明

5月24日にアジア砒素ネットワーク(以下AAN)による国内ワークショップが開催されました。2月下旬にバングラデシュで開催された経験交流ワークショップの報告に加え、国内外の地下水利用や水処理の専門家からの事例報告、参加者同士が未来の水利用について考えるグループワークも行われました。

本ワークショップは、当財団2012年度アジア隣人プログラム特別企画「未来への展望」の助成の一環で開催されたものです。特別企画「未来への展望」は、国際協力NGOを中心としてアジア各地で実践活動をしてきた団体がその経験を振り返り、その過程で明らかとなった知見や未来に向けた提言を報告書としてまとめ、広く社会に発信する企画に対して助成するプログラムです。

未来の水利用を考えるグループワークの様子

AANは、宮崎県土呂久での砒素中毒対策・支援実績を基に、1990年代後半からバングラデシュ、インド、ネパールで地下水の砒素汚染対策に取り組んでいます。今回報告された、バングラデシュでの「ガンジス流域の公平な水利用を考えるワークショップ」では、3か国及び宮崎県土呂久から砒素汚染対策実践者が集い、それぞれの地域での手法、成果、課題の共有、バングラデシュの事例視察が行われたとのこと。現地視察を盛り込んだことで、具体的な失敗や課題も共有することができ、有意義だったとの報告でした。

応用地質学会末永氏からの「アジアと日本における地下水利用」及びNPO地域水道支援センター中本氏の「生物浄化法と小規模自立水源の可能性」の報告では、砒素汚染対策から一歩視野を広げた水供給の手法や持続的に安全な水を確保するためのマネジメントにも話が及びました。

AANのバングラデシュでの活動においても、スタート当初の汚染状況の調査と対策から、問題解決に向けた水源の確保と維持管理に重点が置かれるようになり、さらには住民主導での水源マネジメントをいかに確立していくかという点が現状の大きな課題となっていることがうかがえました。

小規模自立水源とそのマネジメントについて専門家にうかがう

参加者と専門家が共に取り組んだグループワークでは、自分たちが日々使う水道の仕組みや水源の状況についてもディスカッションが行われ、水に関する情報集約や生活者に届く情報発信の重要性、地域特性に応じた水道システムと維持管理方法の導入等が話題にのぼりました。

全ての人の生活に欠かせない「水」を通し、持続可能な自立型の支援がどうすれば実現できるか、そのための方法論とは何なのかというテーマについて、それぞれの参加者がアジア地域の取り組みと課題を自らに引き寄せて感じ、考える機会となったのではないかと思います。
(国際助成グループ 笹川記)

当該プロジェクトの概要は、こちらの助成対象者検索のページから「アジア砒素ネット」で検索してください。


注:アジア地域の地下水砒素汚染のメカニズムについて(アジア砒素ネットワークHPより抜粋)

1980年代以降、アジアの大河流域で確認されている地下水の砒素汚染の源は、ヒマラヤ山脈などが作られた時に、マグマに含まれる砒素が地中深くに堆積したものと考えられています。
砒素が地下水に浸み出す原因については、酸化や還元といった地中の化学反応によるという説、或いは微生物の働きによるという説など様々な可能性があげられていますが、人間のくらし方や技術の変化に伴い、地下水を多く汲み上げて飲用や灌漑に使い始めたことで深刻化してきた問題といえます。

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