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国内助成プログラム

2015年度国内助成プログラム(一般枠)選後評

選考委員長 萩原なつ子

「未来の担い手と創造する持続可能なコミュニティ― 地域に開かれた仕事づくりを通じて―」

2015年度国内助成プログラムは、昨年度に引き続き「未来の担い手と創造する持続可能なコミュニティ― 地域に開かれた仕事づくりを通じて ―」というテーマのもと、「活動助成」「検証・提言助成」の二つの枠組みを設定し公募を行いました。
「活動助成」は、若い世代とともに地域課題解決につながる仕事づくりに取り組む事業やそうした仕事の担い手となる人材を育てるプロジェクトへの助成を目的としています。

仕事と担い手が育つことにより、それぞれの地域に適した持続可能で人々が幸せを実感できるコミュニティが築かれることを期待しています。 
「検証・提言助成」は、本年度の公募趣旨の一つである「担い手の育成」という視点を重視して、過去に助成したプロジェクトを実施した人々が自らの手で自分たちの活動を検証し、そこから得られた知見を他地域や社会に提言する活動を対象としています。

応募状況

本年度は、9月1日から10月7日まで公募を実施し、活動助成280件(2014年度401件)、検証提言助成18件(2014年度16件)の応募がありました。

活動助成については、昨年度より121件の応募数減となりましたが、これは、企画書や募集要項の見直しにより、応募のハードルをやや高くしたことが要因の一つとして考えられます。

代表者の平均年齢は、48.7歳(2014年度49歳)と、過半数が40代以下の代表者による応募となっており、プログラムの趣旨の一つである「未来の担い手」である若い世代からの多数の応募がありました。

また、本年度の公募にあたっては、応募金額の上限を撤廃しました。その結果昨年度平均より82万円増えて597万円となりましたが、上限枠にとらわれることなくプロジェクト実施に必要となる金額を積み上げた結果であると判断しています。助成金について、選考委員からは、人件費が相対的に高いプロジェクトについて、助成事業終了後の自立の妨げにつながらないように慎重な検討が必要である、という意見があがっていました。

選考の結果

選考委員会では、募集要項で提示した「事業の必要性」、「実現可能性」、「継続性」、「波及効果」という4つの選考基準に加え、「未来の担い手を育む視点があるか」「他地域のモデルとなり得る可能性があるか」「仕事としての継続性」などを特に重視し検討を行いました。

その結果、国内助成プログラムとして「活動助成」18件(9,000万円)、「検証・提言助成」4件(1,000万円)を助成対象候補として決定いたしました。

助成対象候補となったプロジェクトについて、いくつか特徴的なものをここに紹介します。

一つ目は、若年無業者、ニート、フリーターといった若者と地域課題を繋ぎ、新たな仕事を創出するプロジェクトです。農作業の支援や雪かきなど生活上の困難を抱えた高齢者と若者をつなぐ試みが都市部、地方双方から提案されていました。

具体的には、「インフォーマル支援体制の推進から生まれる自立を目指す若者の仕事創出事業-若者と釧路インフォーマル生活支援センター設置への始動!」、「若年無業者の自立支援を通した、地域内外の若者と高齢農家の助け合いによる、若者の自立と米崎りんごの担い手創出事業」などです。

二つ目は、農山漁村や中山間地・離島といった地域での暮らし方、働き方の提案とその担い手を育成するプロジェクトです。

具体的には、「地域と人、なりわいを紡ぐ『ひとつの集落、ひとつの林場』づくり〜海と協働する自伐型林業の創出〜」、「小さな里山資本主義と『100の生業づくり』による地域再生を目指して -真庭なりわい塾の開催による若手人材育成と移住定住の仕組みづくり-」、「しまの寺子屋―三宅島の小・中・高校生に送るうみ・もり・ちきゅうを感じる教育―」などです。

この他にも、性に関わる課題を抱えた人の居場所づくりに取り組む事業や多文化共生を促進するためのメディア事業など多様な提案がありました。

「検証・提言助成」では、「地域で守る妊婦の安心プロジェクト」(鹿児島県・徳之島)他計4件のプロジェクトが採択されました。いずれも、過去の助成によりそれぞれの地域で一定の成果をあげており、その成果の検証と他地域への波及効果を期待します。

最後に

 今年度も今日の社会的課題およびニーズの多様化を反映して、それらの課題を解決すべく、まさに多様な提案が全国から寄せられました。これまであまり光があたらなかった分野、地域、伝統的な生業との新たな関係を紡ぎだす過程で若者自身が、新たな価値観で「仕事」を創りだそうという意欲あふれる提案はいずれも甲乙つけがたいものばかりでした。「働く」こと、「仕事」に対する考えが等身大かつユニークで挑戦的なものが多く、選考委員会でも白熱した議論が展開されました。また、「検証・提言助成」については、検証の手法やすすめ方に説得力のないプロジェクトもあり、現場の活動を客観的に検証するためには、外部の専門家との連携が不可欠ではないかという意見があげられました。

 惜しくも助成対象とならなかったプログラムについても、「働く」ことや「仕事」の新しい価値を創りだす視点や志を大切に、持続可能なコミュニティ形成を目指した活動を継続的に展開し、再度チャレンジをしていただきたいと思います。

カッコ内は昨年度
応募件数 助成件数 採択率
活動助成 280件 (401件) 18件 (20件) 6.4% ( 5.0%)
検証・提言助成 18件 ( 16件) 4件 ( 6件) 22.2% (37.5%)
合計 298件 (417件) 22件 (26件) 7.4% ( 6.2%)
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