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国内助成プログラム

2014年度国内助成プログラム選後評

選考委員長 萩原なつ子

1.  「未来の担い手と創造する新しいコミュニティ― 地域に開かれた仕事づくりを通じて―」

2014年度国内助成プログラムは、「未来の担い手と創造する新しいコミュニティ― 地域に開かれた仕事づくりを通じて―」というテーマを設定して公募を行いました。また、通常の「活動助成」に加えて新たに過去に助成をしたプロジェクトを対象とした「検証・提言助成」という枠組みを設定しました。

「活動助成」は、それぞれの地域資源を活用し、地域課題に取り組む仕事の創出とその担い手の育成をめざす活動を対象としています。特に「未来の担い手」となる若い世代の活躍が期待できるプロジェクトを重視しました。

「検証・提言助成」は、本年度の公募趣旨である「担い手の育成」という視点を重視して、プロジェクトを実施した人々が自らの手で自分たちの活動を検証し、そこから得られた知見を他地域や社会に提言する活動を対象としています。
 
いずれの枠組みもプロジェクトを通じて、それぞれの地域に適した、「持続可能で人びとが幸せを実感できるコミュニティ」を築くためにこれからの時代に求められる社会経済のしくみ、コミュニティのあり方、ライフスタイルや働き方が提示されることを期待しました。

応募状況

本年度は、9月1日から10月31日まで公募を実施し、活動助成401件(昨年度273件)、検証・提言助成16件の応募がありました。若い世代への情報発信力を有する、組織・個人を通じて広報したことにより、昨年度に比べて大幅な応募数増加となりました。特に若い世代からの応募が増加し、代表者の平均年齢も昨年度より3歳若返り「未来の担い手」というテーマに即した層から応募があったと考えています。

選考の結果

今回の応募では、各地域から多様な働き方や仕事のあり方、その実現に向けた拠点づくりが提示されました。選考委員会では、そうした提案に対して「若い人と仕事の創出というテーマは、今必要とされている取り組み。ただし、助成することで、自走の妨げになる可能性もあるのでどのような助成のあり方が適切か見極めることが今後の課題」といった指摘や「助成で支援するのであれば単なる事業的に成り立つ仕事だけではなく事業性と運動性が良い循環をもたらすプロジェクトを支援していくべきである」「助成で実施されたプロジェクトが世論を喚起するようなことを期待したい」といった意見が挙げられました。
選考委員会の審議により選ばれた案件について、その支出計画を慎重に精査した結果、国内助成プログラムとして「活動助成」20件(8,580万円)、「検証・提言助成」6件(1,420万円)を助成対象候補として決定いたしました。

助成対象候補となったプロジェクトについていくつか特徴的なものをここに紹介します。

一つ目は、ともすれば仕事において弱い立場に置かれる障がい者や若年無業者などの働く場をつくることを通じてコミュニティ全体の包摂性を高めようとするプロジェクトです。具体的には、「『誰でもが当たり前に働いて生きていける町』を目指して ―障がいのある彼らと私たちだからこそ出来ること」(北海道)や「放置竹林などの地域資源の高付加価値化を通した循環型産業の創造及び課題を抱える若者の雇用を通した自立型コミュニティづくり」(静岡県)などです。

二つ目は、第一次産業や自然資源を核に都市と農山村をつなぎ新しいコミュニティを形成しようとするプロジェクトです。具体的には、「成木の宝を、次世代へ未来へ ―里山資源と都市が共存しあえる「ヒトとコト」の交流づくり」(東京都)「上多田(かみただ)WOODMANプロジェクト ―誰でも関われる新林業で、雇用・移住者を生み、山・人・地域が蘇る物語―」(広島県)などです。

三つ目は、子育て中の女性などが地域で小さな仕事を起こし、地域課題の解決に取り組むプロジェクトです。具体的には、「プチ起業家女性25人のネットワークによる自治精神の回復プロジェクト ―わたしが動けば変えられる! 脱・他人まかせ・脱・陳状」(山形県)などです。

「検証・提言助成」では、ニュータウンにおけるコミュニティカフェ、都市と里山をつなぐプロジェクト、ツーリズム等と他地域にとって参考となる多様な6テーマが採択候補となりました。他地域や社会全体にとって参考となる提言を期待しています。

最後に

以上、選考の経過と主な論点、そして助成対象となったプロジェクトの特徴について述べました。採択されたプロジェクトについては,申請書に書かれた活動のイメージや企画内容がこれからどのように具体的に展開していくのか、大変楽しみです。今回残念ながら採択に至らなかったプロジェクトについては、本プログラムの趣旨からは、企画として未だ熟していないと判断されたものです。しかし、結果はあくまでも今後の可能性における相対的な評価の結果であり、申請者のアイデアや心意気については評価する意見もあったことを申し添えておきます。ぜひ再度チャレンジされることを期待します。
地域の多様性を活かし、すべての人々が生き甲斐、そして働きがいを、そして幸せを実感できる、そんな地域づくりにつながるプロジェクトの応募を来年度もお待ちしています。

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